外国人社員が日本の職場で安心して働き、長く活躍するためには、日頃から仕事や生活の状況を確認することが大切です。
特に外国人社員の場合、日本語や文化の違いなどから、困っていることがあっても自分から相談できないケースがあります。
そのため、定期的な面談では「問題がありますか?」と聞くだけではなく、仕事・職場環境・生活・健康・日本語・人間関係・勤務条件・将来の希望などを具体的に確認することが重要です。
この記事では、企業担当者が外国人社員との面談で確認しておきたい質問事項を、チェックリスト形式でご紹介します。

外国人社員との面談はなぜ重要?
外国人社員との面談は、仕事上の問題だけでなく、生活面やコミュニケーションの課題を早期に把握するためにも重要です。
外国人社員の中には、
- 日本語でうまく説明できない
- 会社に迷惑をかけたくない
- 誰に相談すればよいか分からない
- 日本の職場文化に慣れていない
- 困っていても「大丈夫です」と答えてしまう
といったケースもあります。
そのため、企業側から定期的に声をかけ、本人が安心して相談できる環境をつくることが大切です。
面談では、現在の問題だけでなく、今後の希望やキャリアについても確認することで、外国人社員の職場定着や働きやすい環境づくりにつなげることができます。

外国人社員面談チェックリスト
① 仕事・業務内容について
まず、現在担当している仕事や業務内容について確認します。
□ 確認項目
□ 現在の仕事内容を理解していますか?
□ 担当している業務で分からないことはありませんか?
□ 仕事の進め方で困っていることはありませんか?
□ 上司からの指示を正しく理解できていますか?
□ 仕事量や勤務時間に負担を感じていませんか?
□ 必要な教育や研修を受けられていますか?
□ 仕事で「もっと教えてほしい」と思うことはありますか?
面談での質問例
「現在の仕事で分からないことはありますか?」
「仕事をする中で、困っていることはありませんか?」
「もう少し説明してほしい業務はありますか?」
「仕事で困ったとき、誰に相談していますか?」

② 職場環境・人間関係について
外国人社員が安心して働くためには、職場の人間関係やコミュニケーションも重要です。
□ 確認項目
□ 上司や同僚との関係に問題はありませんか?
□ 職場で相談できる人がいますか?
□ 職場で孤立していると感じることはありませんか?
□ 仕事上のコミュニケーションで困ることはありませんか?
□ 注意や指導の内容を理解できていますか?
□ 職場で嫌なことや不安に感じることはありませんか?
□ 職場で安心して働けていますか?
特に注意したいこと
本人が「大丈夫です」と答えていても、表情や話し方、勤務状況などから不安や困りごとがないか確認することも大切です。
一度の面談だけで判断せず、継続的にコミュニケーションを取ることが重要です。
③ 日本語・コミュニケーションについて
日本語能力は、仕事だけでなく、職場での人間関係や日常生活にも影響します。
□ 確認項目
□ 職場で使われる日本語を理解できていますか?
□ 専門用語や業務用語で分からない言葉はありませんか?
□ 上司や同僚に質問できますか?
□ 電話対応で困ることはありませんか?
□ 申し送りや業務連絡を理解できていますか?
□ 日本語で自分の意見や希望を伝えられていますか?
□ 日本語をもっと勉強したい分野はありますか?
面談での質問例
「仕事で分からない日本語はありますか?」
「職場の人に質問したいとき、困ることはありませんか?」
「もっと勉強したい日本語はありますか?」
「仕事の説明で、分かりにくいと感じることはありますか?」
④ 生活・住居について
仕事だけでなく、日本での生活についても確認します。
□ 確認項目
□ 現在の住居に問題はありませんか?
□ 家賃について困っていることはありませんか?
□ 電気・ガス・水道などの生活費について困っていませんか?
□ 通勤方法に問題はありませんか?
□ 携帯電話やインターネットで困っていませんか?
□ 銀行の手続きで困っていることはありませんか?
□ 市役所などの行政手続きで困っていませんか?
□ 日本での生活で不安なことはありませんか?
外国人社員の場合、生活上の問題が仕事にも影響することがあります。
そのため、面談では仕事だけでなく、普段の生活についても確認することが重要です。
⑤ 健康・体調について
健康状態についても、本人のプライバシーに配慮しながら確認します。
□ 確認項目
□ 最近、体調で気になることはありませんか?
□ 仕事中に体調が悪くなることはありませんか?
□ 疲れがたまっていませんか?
□ 睡眠について困っていることはありませんか?
□ 病院に行きたいが、行けていないことはありませんか?
□ 健康面で会社や支援機関に相談したいことはありませんか?
注意点
健康に関する内容は個人情報・プライバシーに配慮し、必要以上に個人的な情報を聞かないことが大切です。
本人から相談があった場合には、必要に応じて適切な相談先や医療機関などにつなげます。

⑥ 給与・勤務条件について
給与や勤務条件について、会社と本人の認識に違いがないか確認します。
□ 確認項目
□ 給与について分からないことはありませんか?
□ 給与明細の内容を理解していますか?
□ 勤務時間について問題はありませんか?
□ 休憩時間について理解していますか?
□ 休日について理解していますか?
□ 有給休暇の取得方法を理解していますか?
□ 残業について分からないことはありませんか?
□ 会社から説明された労働条件と実際の勤務に違いはありませんか?
外国人社員が給与明細や労働条件を十分に理解できていない場合は、分かりやすい言葉で説明することが重要です。

⑦ 休暇・一時帰国について
外国人社員の場合、母国への一時帰国について相談を受けることもあります。
□ 確認項目
□ 休暇を取得したい予定はありますか?
□ 母国への一時帰国を予定していますか?
□ 帰国について会社へ相談したいことはありますか?
□ 休暇の申請方法を理解していますか?
□ 帰国期間について会社と調整できていますか?
帰国予定がある場合は、勤務シフトや休暇申請などについて早めに確認しておくことで、双方の認識違いを防ぐことができます。
⑧ 在留資格・必要な手続きについて
外国人社員の場合、在留資格や在留期間などについても確認が必要です。
□ 確認項目
□ 在留カードの有効期限を把握していますか?
□ 在留期間の更新時期を把握していますか?
□ 必要な手続きについて困っていませんか?
□ 住所変更などの必要な手続きを適切に行っていますか?
□ 在留資格に関して相談したいことはありませんか?
□ 必要な書類について分からないことはありませんか?
在留資格に関する手続きについては、必要に応じて会社の担当者、行政書士などの専門家、登録支援機関などに相談することも重要です。
⑨ 将来の希望・キャリアについて
外国人社員が長く働くためには、現在の問題だけでなく、将来について話すことも大切です。
□ 確認項目
□ 今後取得したい資格はありますか?
□ 仕事で身につけたいスキルはありますか?
□ 将来やってみたい仕事はありますか?
□ 日本語能力をさらに高めたいですか?
□ 現在の会社で長く働きたいと思っていますか?
□ 今後、担当してみたい仕事はありますか?
□ 会社に希望するサポートはありますか?
社員本人の希望を聞くことで、今後の教育や研修、キャリア形成について考えるきっかけにもなります。
⑩ 困ったときの相談先について
面談では、「困ったときに誰に相談すればよいか」を本人が理解しているか確認することも重要です。
□ 確認項目
□ 仕事で困ったとき、誰に相談しますか?
□ 生活で困ったとき、誰に相談しますか?
□ 会社の担当者に相談できますか?
□ 登録支援機関の担当者に相談できますか?
□ 緊急時の連絡先を把握していますか?
□ 相談したいことを安心して話せる相手がいますか?
外国人社員が一人で問題を抱え込まないよう、日頃から相談しやすい環境を作っておくことが大切です。

面談時に確認しておきたい5つのポイント
① 話しやすい雰囲気を作る
最初から質問を続けるのではなく、本人が話しやすい雰囲気を作りましょう。
「最近どうですか?」
「仕事には慣れましたか?」
など、簡単な質問から始めることも効果的です。
② 「問題ありません」だけで終わらせない
「問題ありませんか?」だけではなく、
「仕事で一番困っていることは何ですか?」
「最近、困ったことはありましたか?」
「会社に手伝ってほしいことはありますか?」
など、具体的に質問することがポイントです。
③ 日本語の理解度に配慮する
難しい言葉や専門用語を避け、必要に応じて簡単な日本語で説明します。
本人が理解しているか確認しながら、ゆっくり話すことも大切です。
④ 本人の話を否定しない
面談では、まず本人の話をしっかり聞くことが重要です。
すぐに結論を出したり、「それは問題ありません」と否定したりするのではなく、本人が何に困っているのかを確認しましょう。
必要に応じて、会社・登録支援機関・関係者と対応を検討します。
⑤ 面談内容を記録する
面談で確認した内容や相談事項、今後の対応について記録しておきましょう。
例えば、
- 面談日
- 面談者
- 本人からの相談内容
- 現在の状況
- 会社側の対応
- 支援機関の対応
- 今後確認する事項
- 次回面談予定
などを記録しておくことで、次回の面談でも状況を確認しやすくなります。
面談後のフォローも重要
面談で問題や相談事項が見つかった場合は、話を聞くだけで終わらせないことが重要です。
例えば、
「日本語が分からない」
業務用語を分かりやすく説明する
「仕事の進め方が分からない」
上司や担当者が具体的に説明する
「生活面で困っている」
必要に応じて支援機関などにつなぐ
「将来資格を取得したい」
研修や資格取得について情報提供する
など、相談内容に応じて具体的なフォローを行います。
また、すぐに解決できない問題については、対応状況を記録し、次回の面談で進捗を確認することも大切です。
外国人社員との定期面談で大切なこと
外国人社員との面談は、単に「問題があるかどうか」を確認するためだけのものではありません。
仕事・職場環境・人間関係・生活・健康・日本語・給与・勤務条件・在留資格・将来の希望などを幅広く確認し、本人が安心して働ける環境を作ることが重要です。
企業と外国人社員が定期的にコミュニケーションを取ることで、困りごとの早期発見や職場への定着、より良い職場環境づくりにつながります。
外国人社員との面談を「問題が起きたときだけ行うもの」ではなく、日頃から安心して相談できる機会として活用していきましょう。

企業担当者向け|面談チェックリストまとめ
| 確認分野 | 主な確認内容 |
| 仕事・業務 | 業務内容、指示、仕事量、研修 |
| 職場環境 | 人間関係、相談相手、職場での不安 |
| 日本語 | 指示理解、専門用語、コミュニケーション |
| 生活・住居 | 住居、通勤、携帯、銀行、行政手続き |
| 健康 | 体調、疲労、病院、健康相談 |
| 給与・勤務条件 | 給与明細、勤務時間、休日、有給、残業 |
| 休暇・帰国 | 休暇予定、一時帰国、申請方法 |
| 在留資格 | 在留カード、更新、必要な手続き |
| キャリア | 資格、スキル、日本語、将来の希望 |
| 相談先 | 会社、登録支援機関、緊急連絡先 |
外国人社員の声を定期的に確認し、早めのサポートにつなげることが、安心して働ける職場づくりの第一歩です。



