特定技能「自動車運送業」の受入れ条件を徹底解説【2026年版】

特定技能「自動車運送業」の受入れ条件と外国人トラックドライバー

日本の物流・運送業界では、トラックドライバーをはじめとする人材不足が大きな課題となっています。

こうした人手不足への対応策の一つとして、2024年に「自動車運送業分野」が特定技能1号の対象分野に追加されました。

現在は、外国人材をトラック・バス・タクシーの運転者として受け入れることができます。国土交通省の制度概要では、自動車運送業分野の受入れ見込数は2.21万人(22,100人)とされています。

ただし、外国人であれば誰でもすぐに日本でトラックを運転できるわけではありません。

外国人本人には、日本語能力・特定技能評価試験・日本の運転免許などの条件があり、受入れ企業側にも、事業・認証・協議会などに関する要件があります。

この記事では、2026年時点の制度をもとに、

  • 特定技能「自動車運送業」とは
  • トラック・バス・タクシーの違い
  • 外国人ドライバーの受入れ条件
  • 日本語能力の条件
  • 特定技能評価試験
  • 日本の運転免許取得
  • 「特定活動」での準備期間
  • 外免切替
  • 受入れ企業の条件
  • 協議会への加入
  • 働きやすい職場認証・Gマーク
  • 登録支援機関の役割
  • 採用から就労開始までの流れ

について、分かりやすく解説します。

1.特定技能 自動車運送業 トラックドライバー

1.特定技能「自動車運送業」とは?

「自動車運送業」は、特定技能1号の対象となっている分野です。

2026年現在、主に次の3種類の運転者を受け入れることができます。

区分 主な業務
トラック事業用トラックの運転、運転に付随する業務全般
バス事業用バスの運転、運転に付随する業務全般
タクシー事業用タクシーの運転、運転に付随する業務全般

トラックについては、運行業務だけでなく、運転に付随する業務として荷役業務なども想定されています。


2.トラック・バス・タクシーで条件が違う

「自動車運送業」と一括りにされることがありますが、実際にはトラック・バス・タクシーで必要な免許や日本語能力が異なります。

トラック

  • 特定技能1号評価試験(トラック)
  • 第一種運転免許
  • 日本語能力:A2.2相当以上
  • JLPT N4以上またはJFT-Basicなど

バス

  • 特定技能1号評価試験(バス)
  • 第二種運転免許
  • 日本語能力:原則B1相当以上
  • JLPT N3以上など

タクシー

  • 特定技能1号評価試験(タクシー)
  • 第二種運転免許
  • 日本語能力:原則B1相当以上
  • JLPT N3以上など

国土交通省の制度概要では、トラックはA2.2相当、バス・タクシーはB1相当が基本的な日本語能力水準として整理されています。A2.2はJLPT N4・JFT-Basic、B1はJLPT N3に相当します。

そのため、トラックドライバーとタクシー・バスドライバーでは、日本語教育の準備も変わります。

2.トラック・バス・タクシーで条件が違う

3.トラックドライバーの主な受入れ条件

ここからは、企業からの問い合わせが多いトラックドライバーについて詳しく説明します。

特定技能1号でトラックドライバーとして働くためには、主に次の条件を満たす必要があります。

① 特定技能1号評価試験に合格する

「自動車運送業分野特定技能1号評価試験(トラック)」に合格する必要があります。

この試験では、例えば、

  • 運行前・運行後の点検
  • 安全運転
  • 運行に関する知識
  • 乗務記録
  • 貨物の積付け
  • 荷崩れ防止
  • トラック運送に関する基本的な知識

など、実際のトラック運送業務に必要となる知識・技能が確認されます。

② 日本語能力を満たす

トラック分野では、基本的に、

JLPT N4以上

または、

JFT-Basic

など、所定の日本語能力を証明する必要があります。

ただし、単に試験に合格するだけでなく、実際の職場では安全確認・報告・連絡などの日本語能力も重要です。


4.トラックドライバーには日本の第一種運転免許が必要

特定技能1号でトラックドライバーとして働くには、日本の第一種運転免許が必要です。

ここで注意したいのは、

外国の運転免許を持っているだけでは、日本でそのまま特定技能のトラックドライバーとして運転できない

という点です。

原則として、

  • 日本の指定自動車教習所などで免許を取得する
  • または、条件を満たす場合に外免切替を行う

など、日本の運転免許を取得する必要があります。


5.「特定活動」で日本の運転免許取得を準備できる

海外から外国人トラックドライバーを採用する場合、最初から日本の運転免許を持っていないケースもあります。

その場合、一定の条件を満たせば、特定技能1号になるための準備として、

「特定活動(特定自動車運送業準備)」

という在留資格を利用できます。

トラックの場合、この特定活動の在留期間は、

6か月

です。

この期間中に、自動車教習所への通所など、運転免許取得に必要な活動を行います。

重要なポイント

この6か月は、単純に「外国人が日本で自由に働くための期間」ではありません。

主な目的は、

特定技能1号として自動車運送業の仕事を開始するための準備

です。

運転免許を取得した場合は、在留期間が残っていても、速やかに特定技能1号への在留資格変更許可申請を行う必要があります。

また、この特定活動の期間は、特定技能1号の通算在留期間には含まれません。

3. トラックドライバーには日本の第一種運転免許が必要

6.外免切替とは?

外国人がすでに母国の運転免許を持っている場合、

「外免切替(外国免許切替)」

によって日本の運転免許を取得できる可能性があります。

外免切替とは、外国で取得した運転免許を、日本の運転免許に切り替える制度です。

ただし、

外国の免許を持っている=自動的に日本の免許へ切り替えられる

という意味ではありません。

必要な書類や確認、適性確認・知識確認・技能確認など、制度上の手続きを行う必要があります。

また、現地で日本の運転免許と同等の免許を持っていたとしても、日本の免許取得に関する手続きが不要になるとは限りません。国土交通省のQ&Aでも、原則として日本の指定自動車教習所での教習または運転免許センターでの外免切替によって日本の免許を取得するとされています。


7.国際運転免許証だけでは不十分

外国人ドライバーの採用でよくある誤解が、

「国際運転免許証があれば日本でトラックを運転できる」

という考え方です。

特定技能1号のトラックドライバーとして働くためには、制度上必要となる日本の第一種運転免許を取得する必要があります。

そのため、採用企業は、

外国免許の確認 – 外免切替の可能性確認 – 日本の免許取得方法の決定

という流れを早めに確認しておくことが重要です。


8.普通・準中型・中型・大型免許について

トラックにはさまざまな車両があります。

そのため、企業が外国人を採用するときには、

「どの大きさのトラックを運転してもらうのか」

を事前に明確にしておく必要があります。

特定技能1号のトラック分野では、第一種運転免許の取得が必要です。

特定活動期間中に普通または準中型免許を取得した場合、特定技能1号への変更申請を行い、その後、必要に応じて中型・大型免許取得のための教習を受けることも可能とされています。

したがって、

採用する会社の仕事内容に合わせて、必要な免許区分を事前に計画すること

が非常に重要です。

4.国際運転免許証だけでは不十分

9.受入れ企業にも条件がある

外国人本人だけではなく、外国人を雇用する会社側にも条件があります。

特定技能「自動車運送業」では、通常の特定技能制度上の要件に加えて、自動車運送業分野特有の要件があります。


10.受入れ企業は自動車運送事業者である必要がある

受入れ企業は、自動車運送業を適法に営んでいる事業者であることが必要です。

例えばトラック分野では、貨物自動車運送事業に関係する事業者として、適切な事業許可・体制などが必要になります。

そのため、

「外国人を採用したい会社なら、どの会社でもトラック分野の特定技能を利用できる」

という制度ではありません。

まず、自社が対象となる事業者に該当するかを確認することが重要です。


11.自動車運送業分野特定技能協議会への加入

受入れ企業にとって重要なのが、

自動車運送業分野特定技能協議会

です。

自動車運送業分野では、制度を適切に運用するために、国土交通省が分野別の協議会を設置しています。

協議会では、

  • 制度の適正な運用
  • 優良事例の共有
  • 法令遵守の啓発
  • 人権上の問題への対応
  • 外国人材の転職支援
  • 人手不足状況の把握
  • 大都市圏への過度な集中への対応
  • 運転免許取得に向けた対応

などが行われています。

受入れ企業は、協議会の加入・届出などについて、最新の国土交通省の案内を確認する必要があります。


12.登録支援機関を利用する場合

特定技能1号では、外国人が日本で安定して生活・就労できるよう、受入れ企業には支援体制が求められます。

企業が自社で支援を行うこともできますが、

登録支援機関に支援を委託する

方法もあります。

登録支援機関を利用する場合、例えば、

  • 入国前の生活ガイダンス
  • 空港への送迎
  • 住居確保の支援
  • 銀行口座開設
  • 携帯電話契約
  • 生活オリエンテーション
  • 日本語学習の機会提供
  • 相談・苦情への対応
  • 定期的な面談
  • 行政機関への手続きサポート

など、必要な支援を計画的に行います。

自動車運送業分野では、登録支援機関についても分野別の協議会に関するルールがあります。


13.「働きやすい職場認証制度」とは?

自動車運送業分野では、受入れ企業の職場環境も重要です。

働きやすい職場認証制度

の正式名称は、

「運転者職場環境良好度認証制度」

です。

この制度は、運転者の職場環境改善に向けた事業者の取組を「見える化」し、人材確保につなげることを目的としています。

現在は、

  • 一つ星
  • 二つ星
  • 三つ星

の認証があります。

審査では、

  • 法令遵守等
  • 労働時間・休日
  • 心身の健康
  • 安心・安定
  • 多様な人材の確保・育成
  • 自主性・先進性等

といった項目が確認されます。


14.トラック分野ではGマークも関係する

トラック事業者については、

Gマーク制度(貨物自動車運送事業安全性評価事業)

も重要です。

Gマークは、輸送の安全確保に積極的に取り組む貨物自動車運送事業所を評価する制度です。

特定技能の制度概要では、トラック分野の受入れ事業者について、

「働きやすい職場認証制度」または「Gマーク制度」

などの要件が示されています。

つまり、トラック分野では企業の安全性・職場環境に関する取組も、外国人材受入れの重要なポイントになります。

5.トラック分野ではGマークも関係する

15.外国人ドライバーに必要な日本語

「JLPT N4に合格すれば、トラックドライバーとして十分」

とは限りません。

JLPT N4は制度上の日本語能力を確認するための一つの基準ですが、実際の運送現場では、さらに実務的な日本語が必要です。

例えば、

運転時

  • 安全確認をしてください。
  • 左折します。
  • 右折します。
  • バックします。
  • 一度停車してください。
  • 周囲を確認してください。

荷物・荷役

  • 荷物を確認してください。
  • 荷崩れがないか確認してください。
  • この荷物を積んでください。
  • 荷物を降ろしてください。
  • 配送先を確認してください。

会社への報告

  • 配送先に到着しました。
  • 道路が渋滞しています。
  • 車両に異常があります。
  • 事故が発生しました。
  • 荷物が破損しました。
  • 会社へ連絡します。

緊急時

  • 事故が発生しました。
  • けが人がいます。
  • 救急車を呼んでください。
  • 警察に連絡してください。
  • 車を安全な場所に移動してください。

このような現場日本語・安全日本語を事前に教育することが重要です。


16.企業が準備すべき「日本語+安全教育」

外国人ドライバーを受け入れる場合、日本語教育だけではなく、

日本の交通ルール・安全運転・運送現場のルール

についても教育する必要があります。

特に、

  • 日本の道路標識
  • 交差点での安全確認
  • 左側通行
  • 車間距離
  • 駐車・停車
  • バック時の安全確認
  • 点検
  • 荷崩れ防止
  • 運行記録
  • 事故発生時の対応
  • 会社への報告

などを、外国人本人が理解できる方法で説明することが重要です。

6.外国人ドライバーに必要な日本語

17.外国人ドライバー採用から就労開始までの流れ

海外在住者を採用する場合、一般的には次のような流れで準備します。

STEP 1 企業側の受入れ準備

STEP 2 外国人材の募集

STEP 3 面接・採用決定

STEP 4 日本語能力の確認

STEP 5 特定技能評価試験の確認・受験

STEP 6 運転免許取得方法の確認

STEP 7 在留資格関係の手続き

STEP 8 必要に応じて「特定活動」で入国

STEP 9 日本の運転免許を取得

STEP 10 特定技能1号への在留資格変更

STEP 11 安全教育・現場研修

STEP 12 トラックドライバーとして就労開始

実際の手続きは、外国人の現在の在留資格、居住地、運転免許の有無、採用企業の状況などによって異なります。

7.外国人ドライバー採用から就労開始までの流れ

18.海外から採用する場合の注意点

海外から外国人ドライバーを採用する場合、企業は早い段階から、

「採用した後、いつから実際に運転できるのか」

を考えておく必要があります。

特に注意したいのが、

特定技能評価試験に合格した=すぐトラックを運転できる

わけではないことです。

日本の運転免許が必要になるため、

試験 → 入国準備 → 特定活動 → 免許取得 → 特定技能1号変更 → 就労開始

という時間を考慮して採用計画を立てる必要があります。


19.企業が採用前に確認したいチェックリスト

外国人トラックドライバーを採用する前に、企業側では次の項目を確認しておくと安心です。

企業側

□ 自社が対象となる自動車運送事業者か

□ 必要な事業許可・認可等を確認したか

□ 働きやすい職場認証またはGマーク等の要件を確認したか

□ 自動車運送業分野特定技能協議会について確認したか

□ 外国人材への支援体制を準備したか

□ 登録支援機関を利用するか決めたか

□ 日本語教育・安全教育の計画を作ったか

□ 運転する車両と必要な免許区分を確認したか

□ 給与・労働時間・休日などの雇用条件を整理したか


20.外国人本人のチェックリスト

外国人本人についても、次のような点を確認することが重要です。

□ 日本語能力の条件を満たしているか

□ 特定技能評価試験に合格しているか

□ 母国の運転免許を持っているか

□ 日本の運転免許を取得できる状況か

□ 外免切替が可能か確認したか

□ 必要な免許区分を理解しているか

□ 日本の交通ルールを理解しているか

□ 運送現場で使用する日本語を学んでいるか

□ 仕事内容・給与・勤務時間を理解しているか

□ 生活面の支援内容を理解しているか


21.特定技能「自動車運送業」のポイントまとめ

項目トラックバスタクシー
在留資格特定技能1号特定技能1号特定技能1号
技能試験トラックバスタクシー
運転免許第一種第二種第二種
日本語A2.2相当以上原則B1相当以上原則B1相当以上
JLPTの目安N4以上N3以上N3以上
特定活動6か月1年1年
主な業務運転・運転関連業務運転・接遇等運転・接遇等
企業要件認証・協議会等認証・協議会等認証・協議会等

※詳細な要件は、業務区分や最新の運用要領等によって確認する必要があります。


22.企業にとって重要なのは「採用後」まで考えること

外国人ドライバーの受入れでは、採用そのものだけを考えるのではなく、

「採用後に安全に長く働いてもらえる環境をどう作るか」

という視点も重要です。

例えば、

  • 日本語教育
  • 安全運転教育
  • 車両点検の教育
  • 荷役作業の教育
  • 事故対応
  • 生活支援
  • 職場でのコミュニケーション
  • 定期的な面談
  • キャリア形成

などを継続的に行うことが重要です。

外国人材にとっても、日本の道路・交通ルール・職場文化は母国と異なる場合があります。

そのため、「日本語ができるから大丈夫」と考えるのではなく、運送業界で働くための実務日本語と安全教育を組み合わせることが大切です。


23.特定技能「自動車運送業」の受入れを検討している企業へ

特定技能「自動車運送業」は、外国人材をトラック・バス・タクシーの運転者として受け入れるための制度です。

特にトラック分野では、

日本語能力
+
特定技能評価試験
+
日本の第一種運転免許

が基本的なポイントとなります。

さらに企業側では、

自動車運送事業者としての要件
+
働きやすい職場認証・Gマーク等の要件
+
特定技能協議会
+
外国人への支援体制

などを確認する必要があります。

そのため、外国人ドライバーの採用では、

「人材を探す」ことから始めるのではなく、「受入れ準備」から始めること

が重要です。


まとめ|外国人トラックドライバーの受入れは事前準備が重要

2026年現在、特定技能「自動車運送業」では、外国人材をトラック・バス・タクシーの運転者として受け入れることができます。

トラックドライバーの場合、主なポイントは、

① 日本語能力
②
特定技能1号評価試験(トラック)
③
日本の第一種運転免許
④
受入れ企業側の要件
⑤
特定技能協議会
⑥
必要な支援体制
⑦
日本語・安全教育

です。

また、海外から人材を受け入れる場合には、必要に応じて「特定活動」で運転免許取得の準備を行い、その後、特定技能1号への変更を目指す流れがあります。

トラックドライバーの場合、特定活動の在留期間は6か月・更新不可です。そのため、採用前から免許取得方法や必要な期間を確認しておくことが重要です。

外国人ドライバーの受入れを成功させるためには、

募集 → 面接 → 試験 → 在留資格手続き → 入国 → 免許取得 → 特定技能1号変更 → 安全教育 → 就労開始

という一連の流れを計画することが大切です。

制度は今後も変更される可能性があります。実際の採用・申請を行う際には、国土交通省・出入国在留管理庁が公表する最新の情報、運用要領、Q&A等を確認してください。

※本記事は2026年9月時点で公開されている国土交通省・出入国在留管理庁等の情報をもとに作成しています。個別の申請については、最新の公的資料をご確認ください。