【2026年版】
「外国人社員から相談を受けたけれど、会社だけで対応していいの?」
特定技能外国人を受け入れている企業では、仕事だけでなく、病院、住居、給与、人間関係、在留資格など、さまざまな相談を受けることがあります。
特に、初めて外国人材を受け入れる企業の場合、「どこまで会社が対応するべきなのか」「登録支援機関に相談してよいのか」が分からないケースも少なくありません。
登録支援機関は、1号特定技能外国人に対する支援計画に基づき、生活・職業生活・社会生活上の相談対応などを行う役割があります。支援の全部を登録支援機関へ委託している場合には、登録支援機関が支援を実施します。
この記事では、特定技能外国人から相談を受けたときに、企業だけで抱え込まず、登録支援機関への相談・連携を検討したい10のケースを紹介します。
目次
- 登録支援機関にはどこまで相談できる?
- 病院に行きたいと言われた
- 給料について不満を言っている
- 仕事の指示が理解できない
- 職場の人間関係で悩んでいる
- 遅刻・欠勤が増えている
- 住居・寮でトラブルが起きている
- 在留カード・在留資格について相談された
- 銀行・携帯電話・生活インフラで困っている
- 退職・転職したいと言われた
- 会社には直接言いにくい悩みを抱えている
- 企業と登録支援機関が連携するときのポイント
- まとめ
- 特定技能外国人の受け入れ・支援についてご相談ください
登録支援機関にはどこまで相談できる?
登録支援機関は、単に「外国人社員の書類を管理する会社」ではありません。
特定技能1号外国人の支援では、外国人が日本で安定して働き、生活できるようにするための支援が重要になります。
例えば、
- 日本での生活ルールに関する相談
- 仕事や生活に関する相談
- 相談・苦情への対応
- 定期的な面談
- 必要に応じた行政機関等への相談
などがあります。
実際に、出入国在留管理庁の資料でも、相談・苦情が発生した場合の「相談記録書」や、定期面談を行った場合の「定期面談報告書」などが示されています。
ただし、すべての問題を登録支援機関に丸投げできるという意味ではありません。
雇用契約、給与、労働時間、安全衛生など、企業自身が責任を持って対応するべき問題もあります。
大切なのは、
「会社が責任を持って対応する部分」と「登録支援機関と連携する部分」を分けること
です。
1.「病院に行きたい」と言われた
外国人社員から、
「体調が悪いので病院に行きたい」
「病院を予約したい」
「日本語が分からないので病院に行くのが不安」
と相談されることがあります。
特に日本に来たばかりの外国人の場合、病院の探し方や予約方法、日本語での説明に不安を感じるケースがあります。
企業が確認したいこと
まずは体調や緊急性を確認しましょう。
緊急性がある場合は、通常の生活相談とは別に、適切な医療機関・救急対応につなげる必要があります。
緊急ではない場合でも、登録支援機関と連携して、
- 病院を探す
- 予約方法を確認する
- 必要な生活上の支援を行う
- 外国人本人が安心して受診できるようサポートする
といった対応を検討できます。
ただし、会社や登録支援機関が医療行為や診断を行うものではありません。
2.「給料が少ない」と不満を言っている
給与についての相談は、外国人社員との間でトラブルになりやすいポイントの一つです。
例えば、
「求人票で聞いていた金額と違う」
「思っていたより手取りが少ない」
「寮費が高い」
「給料から何が引かれているのか分からない」
などです。
この場合、まず企業側で、
- 雇用契約書
- 給与明細
- 労働条件
- 控除項目
- 社会保険料
- 税金
- 住居費などの本人負担
を確認する必要があります。
そのうえで、外国人本人が内容を理解できていない場合には、登録支援機関に相談し、分かりやすく説明することが重要です。
特に、給与に関する問題は単なる「通訳」で終わらせず、労働関係法令への適合性にも注意する必要があります。
問題がある可能性がある場合には、必要に応じて労働基準監督署などの関係機関への相談も検討します。

3.「仕事の指示が理解できない」と言われた
外国人社員から、
「上司の説明が分からない」
「仕事のやり方が分からない」
「日本人スタッフの指示が早すぎる」
という相談を受けることがあります。
これは日本語能力だけが原因とは限りません。
よくある原因
- 専門用語が多い
- 方言を使っている
- 一度に多くの指示を出している
- 曖昧な表現を使っている
- 実演なしで説明している
- 「分かりましたか?」だけで確認している
企業側も、指示の出し方を見直すことが重要です。
例えば、
「これをお願いします」
だけではなく、
「①これを持つ → ②ここに置く → ③終わったら私に報告する」
のように、具体的に説明すると伝わりやすくなります。
登録支援機関には、外国人本人から聞いた内容を企業へ共有してもらい、双方のコミュニケーション改善につなげることもできます。

4.職場の人間関係で悩んでいる
外国人社員から、
「上司が怖い」
「同僚とうまく話せない」
「職場で自分だけ仲間外れにされている」
などの相談を受けることがあります。
人間関係の問題は、本人が会社に直接言いにくい場合があります。
そのため、登録支援機関が相談窓口として機能することは重要です。
企業が注意したいこと
外国人だから我慢してもらう、という考え方は避ける必要があります。
まず事実関係を確認し、
- いつ
- 誰が
- 何をしたのか
- どのような発言があったのか
- 何回発生したのか
などを整理します。
ハラスメントや労働関係法令違反が疑われる場合は、単なる生活相談として処理せず、適切な対応が必要です。
登録支援機関が相談を受けた結果、問題解決が困難で行政機関等への相談を行った場合についても、出入国在留管理庁の報告制度が設けられています。
5.遅刻・欠勤が増えている
「最近、遅刻が増えた」
「急に休むことが多くなった」
という場合、単純に「仕事への意識が低い」と判断するのは危険です。
背景に、
- 体調不良
- 睡眠不足
- 住居の問題
- 人間関係
- 家族の問題
- 経済的な問題
- 日本語によるストレス
などが隠れている可能性があります。
企業として勤務状況を確認することはもちろん重要ですが、本人が会社に話しにくい事情を抱えている場合は、登録支援機関との面談や相談につなげる方法もあります。
「遅刻したから注意する」だけではなく、「なぜ遅刻が増えたのか」を確認することがポイントです。
6.住居・寮でトラブルが起きている
特定技能外国人が会社の寮や借上げ住宅などに住んでいる場合、生活上のトラブルが発生することがあります。
例えば、
- ゴミ出しのルールが分からない
- 騒音について注意された
- 同居人とのトラブル
- 家賃・水道光熱費について分からない
- 部屋の設備が壊れた
- 近隣住民とのトラブル
などです。
このような場合、企業だけでなく登録支援機関にも相談することで、外国人本人への説明や生活ルールの確認を行いやすくなります。
ただし、修繕費や家賃などの費用負担については、契約内容や法令等を確認したうえで対応することが重要です。

7.在留カード・在留資格について相談された
外国人社員から、
「在留カードの更新はいつですか?」
「在留期限が近いけど大丈夫ですか?」
「転職したら在留資格はどうなりますか?」
などの相談を受けることがあります。
在留資格に関する手続きは重要なので、期限を会社側でも管理しておくことが大切です。
また、特定技能に関する申請・届出には、在留資格の変更・更新だけでなく、特定技能所属機関や登録支援機関による各種届出があります。出入国在留管理庁は、2026年4月以降に使用する新しい定期届出様式なども公開しています。
在留資格に関する相談を受けた場合は、
「たぶん大丈夫」
と自己判断で回答するのではなく、必要に応じて出入国在留管理庁や専門家など、適切な相談先につなげることが重要です。

8.銀行・携帯電話・生活インフラで困っている
日本で生活するためには、
- 銀行口座
- キャッシュカード
- 携帯電話
- 電気
- ガス
- 水道
- インターネット
など、仕事以外にもさまざまな手続きが必要です。
例えば、
「キャッシュカードをなくした」
「携帯電話を契約したい」
「電気が止まった」
「銀行から届いた書類が読めない」
といった相談があります。
こうした生活上の問題は、外国人本人だけでは解決が難しい場合があります。
登録支援機関と連携しながら、必要な手続きや相談先を確認するとスムーズです。
ただし、銀行口座の暗証番号やキャッシュカードなど、重要な個人情報・金融情報については、企業や支援機関が不必要に預からないなど、適切な管理が必要です。
9.「退職・転職したい」と言われた
これは企業にとって非常に重要な相談です。
外国人社員から、
「会社を辞めたい」
「別の会社で働きたい」
「給料の高い会社に転職したい」
と言われた場合、感情的に引き止めるのではなく、まず理由を確認することが大切です。
よくある理由
- 給与への不満
- 人間関係
- 仕事内容
- 勤務時間
- 住居
- 将来のキャリア
- 日本語でのコミュニケーション
- 家族の事情
などがあります。
登録支援機関が相談を受けることで、本人の本当の希望を整理し、企業側にも必要な情報を共有できます。
なお、特定技能外国人の転職に関しては、在留資格や所属機関に関する手続きが関係するため、個別の状況に応じた確認が必要です。
また、非自発的離職が発生した場合の転職支援については、出入国在留管理庁の届出・報告制度があります。
10.会社には直接言いにくい悩みを抱えている
最後は、最も見落とされやすいケースです。
外国人社員が、
「会社には言いたくない」
「上司には相談できない」
「誰に相談したらいいか分からない」
という状態になっている場合です。
例えば、
- 職場でのハラスメント
- 給与への不満
- 人間関係
- 仕事への不安
- 生活上の悩み
- 家族の問題
- 転職を考えている
- 日本での生活に強い不安を感じている
などがあります。
このような問題は、表面化するまで企業が気づかないことがあります。
だからこそ、外国人社員が安心して相談できる窓口を明確にしておくことが重要です。
登録支援機関は、相談・苦情への対応や定期面談などを通じて、外国人本人の状況を把握する役割を担います。相談・苦情が発生した場合には、相談内容や対応結果を記録する仕組みも設けられています。

企業と登録支援機関が連携するときのポイント
登録支援機関に相談すれば、すべての問題が解決するわけではありません。
重要なのは、企業と登録支援機関がそれぞれの役割を理解することです。
| 問題 | 企業の対応 | 登録支援機関との連携 |
| 病院に行きたい | 勤務調整など | 相談・生活面の支援 |
| 給与の不満 | 給与・労働条件を確認 | 内容を分かりやすく説明 |
| 仕事の指示が分からない | 指示方法を改善 | 本人から状況を確認 |
| 人間関係 | 職場環境を確認 | 相談窓口として対応 |
| 遅刻・欠勤 | 勤怠を管理 | 背景を確認 |
| 寮のトラブル | 会社・契約内容を確認 | 生活面の相談 |
| 在留資格 | 必要な手続きを確認 | 支援・相談先の案内 |
| 銀行・携帯など | 必要に応じて協力 | 生活相談・手続き支援 |
| 転職希望 | 退職・雇用関係を確認 | 本人の相談に対応 |
| 会社に言いにくい悩み | 必要な改善を検討 | 相談・面談で状況把握 |
※具体的な支援範囲は、支援計画・支援委託契約の内容や個別の状況によって異なります。
登録支援機関への「丸投げ」は避ける
登録支援機関に支援を委託しているからといって、
「外国人のことは全部、登録支援機関に任せればいい」
ということではありません。
企業は雇用主として、雇用契約や労働条件、職場環境などについて責任を持って対応する必要があります。
一方で、外国人本人からの生活相談や苦情、定期面談などについては、登録支援機関と連携することで、問題を早期に発見できる場合があります。
また、登録支援機関が支援の実施を通じて企業側の基準不適合を把握した場合などには、関係機関への報告が必要となる場合があります。
そのため、
企業 → 雇用・職場の責任
登録支援機関 → 支援・相談・生活面のサポート
という基本的な役割を理解し、必要な場面で情報共有することが大切です。
まとめ|外国人社員の小さな相談を放置しないことが大切
特定技能外国人を受け入れている企業では、仕事以外にもさまざまな相談が発生します。
今回紹介した10のケースは、
- 病院に行きたい
- 給料について不満がある
- 仕事の指示が理解できない
- 職場の人間関係に悩んでいる
- 遅刻・欠勤が増えている
- 住居・寮でトラブルがある
- 在留カード・在留資格について困っている
- 銀行・携帯電話・生活インフラで困っている
- 退職・転職を考えている
- 会社には直接言いにくい悩みがある
というものです。
重要なのは、問題が大きくなってから対応するのではなく、小さな変化や相談の段階で早めに対応することです。
外国人社員が安心して相談できる環境をつくり、企業と登録支援機関が適切に連携することで、トラブルの早期発見や定着率の向上につながります。
特定技能外国人を長く働いてもらうためには、採用だけではなく、入社後の支援・コミュニケーション・生活サポートまで含めた体制づくりが重要です。
特定技能外国人の受け入れ・支援についてご相談ください
「特定技能外国人を受け入れたいけれど、何から始めればいいか分からない」
「登録支援機関にどこまで任せればいい?」
「外国人社員から相談を受けたが、どう対応すればいい?」
「現在の支援体制を見直したい」
このようなお悩みがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
特定技能外国人の採用から、在留手続き、入社後の生活支援、定着支援まで、企業の状況に合わせたサポートをご案内いたします。
外国人材の採用・受け入れ・定着についてのご相談は、お気軽にお問い合わせください。
※本記事は2026年9月時点の公開情報をもとに作成しています。特定技能制度や届出・支援内容は変更される場合があります。個別のケースについては、最新の出入国在留管理庁の情報や関係行政機関、必要に応じて専門家への確認をおすすめします。


