特定技能外国人が退職・転職したいと言ったら?企業が確認すべきこと【2026年版】

特定技能外国人の退職・転職について企業が確認すべきポイント

「特定技能外国人から退職したいと言われた」

「他の会社へ転職したいと言われた」

「突然、仕事を辞めたいと言われて困っている」

特定技能外国人を雇用している企業では、このような相談を受けることがあります。

外国人材の退職・転職は、一般的な従業員の退職とは異なり、雇用契約だけではなく、在留資格や特定技能制度に関する手続きについても確認する必要があります。

特に、特定技能外国人が現在の会社を退職して別の会社で働く場合には、転職先での仕事内容、特定技能の分野、業務区分、在留資格変更の必要性などを確認することが重要です。出入国在留管理庁も、特定技能外国人の転職について、一定の条件のもとで認められることを案内しています。

本記事では、特定技能外国人から「辞めたい」「転職したい」と相談された場合に、企業が確認すべきポイントと具体的な対応方法を解説します。


1.まず本人の退職・転職の意思を確認する

特定技能外国人から「会社を辞めたい」と言われた場合、企業が最初に行うべきことは、本人の意思を丁寧に確認することです。

外国人材が退職を希望する理由は、一つとは限りません。

例えば、

  • 給料について不満がある
  • 残業時間が多い
  • 夜勤が多い
  • 職場の人間関係に悩んでいる
  • 日本人スタッフとのコミュニケーションが難しい
  • 仕事内容が想像していたものと違う
  • 寮や住居に不満がある
  • 通勤時間が長い
  • 休日が少ないと感じている
  • 家族の事情がある
  • 他の会社から転職の誘いを受けた
  • より良い給与や条件の会社で働きたい
  • 将来的なキャリアについて考えている

など、さまざまな理由があります。

そのため、「辞めたい」という言葉だけを聞いて、すぐに退職手続きを進めることはおすすめできません。

まずは本人と面談を行い、「なぜ退職したいのか」「会社に対してどのような不満があるのか」「転職先は決まっているのか」「本当に退職する意思があるのか」を確認しましょう。

特に外国人材の場合、日本語能力の問題から、自分の考えを十分に説明できないことがあります。

本人が「給料が安い」と言っていても、実際には仕事内容、寮費、残業、職場の人間関係など、複数の問題が重なっている可能性があります。

そのため、必要に応じて登録支援機関などにも相談し、本人が十分に意思を伝えられる環境を作ることが大切です。

一方で、本人が十分に考えたうえで退職・転職を希望している場合には、その意思を尊重する必要があります。

会社として改善できる問題については話し合いを行いながらも、本人の意思を無視して強引に引き止めることは避けましょう。

まず本人の退職・転職の意思を確認する

2.「特定技能だから転職できない」と決めつけない

特定技能外国人から「転職したい」と相談されたとき、企業側が注意したいのが、「特定技能だから転職できない」と誤って説明することです。

特定技能外国人も、一定の条件のもとで転職することが可能です。

出入国在留管理庁のFAQでも、特定技能外国人の転職について説明されており、同一分野内であっても、従事する業務区分や必要な技能の関係によって、転職できる範囲が判断されます。受入れ機関を変更する場合や分野を変更する場合には、原則として在留資格「特定技能」の変更許可申請が必要です。

つまり、「特定技能だから転職できない」のではなく、「どの会社へ、どの分野・業務で転職するのか」を確認することが重要です。

例えば、現在「外食業」で特定技能として働いている人が、別の会社の外食業へ転職するケースと、別の特定産業分野へ転職するケースでは、必要となる確認や手続きが異なる可能性があります。

また、同じ分野であっても、業務区分などの関係から、本人が転職先の業務に必要な技能を満たしているか確認する必要があります。

さらに、転職先が決まっていない状態で先に退職してしまう場合は、今後の在留・就労について特に注意が必要です。

そのため、企業が「転職できない」と説明するのではなく、

「転職を希望している場合は、転職先の仕事内容や在留資格上の手続きを確認しましょう」

と案内することが適切です。

企業だけで判断が難しい場合は、出入国在留管理庁の最新情報を確認したり、登録支援機関や専門家に相談したりすることをおすすめします。

「特定技能だから転職できない」と決めつけない

3.退職日・最終出勤日を確認する

退職することが決まった場合、次に重要なのが退職日を明確にすることです。

「いつ辞めるのか」が曖昧なままでは、給与計算、社会保険、寮の退去、引き継ぎ、支援業務など、さまざまな手続きに影響します。

企業は本人と話し合い、

  • 退職希望日
  • 会社としての退職日
  • 最終出勤日
  • 有給休暇の取得予定
  • 最終給与の支給日
  • 社宅・寮の退去日
  • 鍵の返却日
  • 制服・会社備品の返却日
  • 健康保険・厚生年金等の手続き
  • 住民税等の確認

などを整理しておきましょう。

特に「明日から行きません」というケースでは、会社側も感情的にならず、まず状況を確認することが重要です。

雇用契約や就業規則、労働関係法令を確認しながら、適切な退職手続きを進めます。

また、本人が有給休暇を残している場合には、その残日数や取得についても確認します。

退職日と最終出勤日は必ずしも同じとは限りません。

例えば、最終出勤後に残っている有給休暇を取得して、その後に退職日を迎えるケースもあります。

さらに、寮に住んでいる特定技能外国人の場合、退職後の住居についても早めに確認する必要があります。

「退職日になってから寮を出てください」と突然伝えるのではなく、退去日、荷物の整理、次の住居などについて、本人と早めに話し合うことが大切です。

退職に関する情報を文書や面談記録として残しておくことで、後日の認識違いを防ぐことにもつながります。

退職日・最終出勤日を確認する

4.転職先が決まっているか確認する

特定技能外国人が「転職したい」と言った場合、転職先がすでに決まっているのか、それともこれから探すのかを確認しましょう。

転職先が決まっている場合

少なくとも以下の情報を確認しておくことをおすすめします。

  • 転職先の会社名
  • 会社所在地
  • 業種
  • 特定技能の分野
  • 具体的な仕事内容
  • 業務区分
  • 雇用形態
  • 給与
  • 勤務時間
  • 入社予定日
  • 住居
  • 通勤方法
  • 在留資格関係の手続き

特に重要なのが「転職先で何の仕事をするのか」です。

単純に「同じ業界だから大丈夫」と判断するのではなく、特定技能制度上、その仕事が認められる業務なのか確認する必要があります。

転職先が決まっていない場合

「今の会社を辞めてから仕事を探したい」という場合は、より慎重に対応しましょう。

退職後の生活費、住居、在留資格、就職活動などについて本人がどのように考えているのかを確認します。

特定技能は、現在の雇用契約に基づいて特定の分野・業務に従事する在留資格です。出入国在留管理庁も、特定技能の在留資格について、指定された特定産業分野で一定の技能を要する業務に従事する活動であることを示しています。

そのため、「退職すれば自動的にどの会社でも働ける」という制度ではありません。

転職先が決まっていない場合は、退職前から今後の手続きについて確認しておくことが重要です。

転職先が決まっているか確認する

5.登録支援機関への連絡・相談

登録支援機関を利用している企業の場合、特定技能外国人から退職・転職の相談を受けたら、できるだけ早い段階で登録支援機関へ情報共有することをおすすめします。

特定技能外国人の退職理由には、単なるキャリアアップだけでなく、職場環境、給与、生活、住居、人間関係など、さまざまな問題が関係している場合があります。

登録支援機関は、本人との面談や相談対応を通して、問題の整理をサポートできます。

例えば、

「給料が少ないので辞めたい」

という相談であれば、

  • 実際の給与額
  • 残業時間
  • 控除額
  • 寮費
  • 水道光熱費
  • その他の控除

などを確認することで、本人が何を問題としているのかを明確にできます。

また、

「会社の人と話ができない」

という相談であれば、日本語能力やコミュニケーションの問題、職場での人間関係などについて確認することができます。

登録支援機関へ早めに相談することで、退職を決める前に解決できる問題が見つかる場合もあります。

一方、本人がすでに転職を決意している場合には、無理に引き止めるのではなく、必要な手続きや今後の流れを整理することが重要です。

また、特定技能の雇用契約が終了した場合など、企業側にも届出が必要となるケースがあります。出入国在留管理庁は、特定技能雇用契約の終了等に関する随時届出の様式や手続きを案内しています。

登録支援機関への連絡・相談

6.退職理由と面談内容を記録しておく

特定技能外国人から退職・転職の相談を受けた場合、面談内容を記録しておくことも非常に重要です。

口頭で話をしただけでは、後になって「言った・言わない」という問題になる可能性があります。

そのため、企業側では簡単な面談記録を作成しておくことをおすすめします。

例えば、以下の項目を記録します。

面談記録

  • 面談日
  • 本人氏名
  • 面談担当者
  • 退職希望の有無
  • 転職希望の有無
  • 退職理由
  • 本人が希望していること
  • 会社から説明した内容
  • 転職先の有無
  • 転職先の分野
  • 退職予定日
  • 登録支援機関への相談状況
  • 今後の対応

ここで重要なのは、会社側の意見だけを記録するのではなく、「本人が何を希望しているのか」を正確に残すことです。

例えば、

「本人は給与について不満があり、他社への転職を希望している」

「本人に改善案を説明したが、転職の意思は変わらなかった」

など、事実を中心に記録します。

また、外国人本人が日本語で十分に理解できているかについても確認しましょう。

必要に応じて、本人が理解できる言語で説明することも重要です。

記録を残しておくことで、企業、本人、登録支援機関の間で情報を共有しやすくなります。

退職理由と面談内容を記録しておく

7.給与・未払い賃金・費用の精算を確認する

退職時には、給与や各種費用についても必ず確認しましょう。

特定技能外国人から、

「給料が少ない」

「残業代が支払われていない」

「寮費が高い」

などの理由で退職したいと言われることもあります。

その場合は、本人の主張をそのまま退職理由として処理するのではなく、会社側でも事実関係を確認する必要があります。

確認する項目としては、

  • 基本給
  • 時間外労働に対する賃金
  • 深夜勤務に関する賃金
  • 休日勤務に関する賃金
  • 最終給与
  • 未払い賃金の有無
  • 有給休暇
  • 社宅費
  • 水道光熱費
  • 食費等
  • 貸付金
  • その他の精算

などがあります。

特に給与については、雇用条件書や給与明細と実際の支払い内容を確認することが重要です。

また、退職時に会社から本人へ支払うものと、本人から会社へ精算するものを分けて整理しましょう。

例えば、会社から貸与した制服や備品がある場合には返却状況を確認します。

一方、本人が会社から借りているお金がある場合などには、返済方法について確認が必要です。

ただし、給与からの控除や精算については、労働関係法令等に注意する必要があります。

「退職するから最後の給料から全部差し引く」といった一方的な処理をするのではなく、適切な方法で精算することが重要です。

給与・未払い賃金・費用の精算を確認する

8.会社からの強引な引き止めは避ける

特定技能外国人が退職・転職を希望した場合、企業としては「せっかく採用したのだから辞めてほしくない」と考えることもあるでしょう。

しかし、強引な引き止めはトラブルにつながる可能性があります。

例えば、

「転職したら日本にいられない」

「会社を辞めたら帰国してもらう」

「在留カードを会社で預かる」

「他の会社に転職することはできない」

など、本人に誤った情報を伝えたり、不安を利用して退職を妨げたりするような対応は避ける必要があります。

企業としては、まず退職理由を確認し、改善できる問題がある場合には本人と話し合うことが大切です。

例えば給与、勤務時間、夜勤、休日、住居などについて会社側で改善可能な部分があれば、具体的な改善案を提示することができます。

ただし、本人が十分に考えたうえで転職を決めている場合は、その意思を尊重し、必要な手続きを適切に進めることが重要です。

特定技能外国人は、一定の条件のもとで転職することができます。転職の可否は「外国人だから」「特定技能だから」という理由だけで判断するのではなく、転職先の分野、業務、在留資格上の要件などを確認して判断する必要があります。

企業と外国人材が良好な関係を維持するためにも、退職時こそ丁寧なコミュニケーションが重要です。

会社からの強引な引き止めは避ける

9.退職・転職に伴う必要な手続きを確認する

特定技能外国人が退職する場合、一般的な退職手続きだけで終わらせないことが重要です。

特定技能制度では、雇用契約の終了や変更、新たな特定技能雇用契約の締結などについて、受入れ機関側に届出が必要となる場合があります。

出入国在留管理庁の運用要領では、特定技能雇用契約が終了した場合などについて、所定の届出を行う必要があり、届出事由が生じた日から14日以内に届け出ることが定められています。

また、特定技能外国人本人についても、所属機関との契約終了や新たな契約締結などに関する届出が必要となる場合があります。出入国在留管理庁も、退職・契約終了や新しい所属機関への移籍等について、所属機関に関する届出が必要となることを案内しています。

さらに、転職先が別の特定技能所属機関となる場合には、在留資格変更許可申請が必要となるケースがあります。出入国在留管理庁のFAQでも、受入れ機関を変更する場合や分野を変更する場合の手続きについて案内されています。

そのため、

退職日 → 雇用契約終了の確認 → 必要な届出 → 転職先との契約 → 在留資格関係の手続き → 新しい会社での就労開始

という流れを整理しておくと、手続き漏れを防ぎやすくなります。

なお、実際に必要となる届出や申請は、本人の状況や転職先によって異なる場合があります。

企業だけで判断せず、出入国在留管理庁の最新情報を確認し、必要に応じて登録支援機関などに相談しましょう。


10.企業が確認すべきチェックポイント

特定技能外国人から「退職したい」「転職したい」と相談された場合、企業は一つずつ確認しながら対応することが重要です。

まず確認したいのは、本人の意思です。

本当に退職したいのか、それとも職場の問題を改善してほしいという相談なのかを確認します。

次に、退職理由を確認します。

給与、勤務時間、人間関係、仕事内容、寮、通勤、家族事情など、理由によって会社側の対応は変わります。

退職することが決まった場合は、退職希望日、最終出勤日、有給休暇、最終給与、寮の退去日などを確認します。

転職する場合は、転職先が決まっているか、転職先の会社名、仕事内容、分野、業務区分、入社予定日などを確認します。

また、登録支援機関を利用している場合は、できるだけ早く情報を共有しましょう。

さらに、特定技能雇用契約の終了等に伴う届出についても確認します。

出入国在留管理庁では、特定技能所属機関が行う随時届出の様式やQ&Aを公開しています。企業は最新の様式・期限を確認して手続きを行うことが重要です。

企業向けチェックリスト

  • 本人が本当に退職・転職を希望しているか
  • 退職理由を確認したか
  • 会社側で改善できる問題がないか
  • 本人の意思を十分に確認したか
  • 退職希望日を確認したか
  • 最終出勤日を確認したか
  • 有給休暇の残日数を確認したか
  • 最終給与を確認したか
  • 未払い賃金がないか確認したか
  • 社宅・寮の退去について確認したか
  • 貸与物の返却を確認したか
  • 転職先が決まっているか確認したか
  • 転職先の仕事内容を確認したか
  • 転職先の特定技能分野を確認したか
  • 必要な在留資格関係の手続きを確認したか
  • 登録支援機関へ情報共有したか
  • 必要な届出の期限を確認したか
  • 面談内容を記録したか
  • 本人に必要な説明を行ったか
企業が確認すべきチェックポイント

まとめ|退職・転職の相談は「早めの確認」が重要

特定技能外国人から「退職したい」「転職したい」と相談された場合、企業が最も大切にすべきなのは、本人の意思と退職理由を正確に確認することです。

退職理由を確認することで、職場環境の改善によって解決できるケースもあります。

一方で、本人がすでに転職を決意している場合は、無理に引き止めるのではなく、雇用契約、退職日、給与、住居、転職先、在留資格、必要な届出などを確認し、適切に手続きを進めることが重要です。

特定技能外国人の転職は一定の条件のもとで認められていますが、転職先の分野や業務、在留資格上の手続きについて確認が必要です。

また、特定技能雇用契約が終了した場合などには、受入れ企業側に届出が必要となる場合があります。届出には期限があるため、「退職してから考える」のではなく、退職の相談を受けた段階から準備することが重要です。

企業と外国人材の双方にとって、退職・転職は大きな出来事です。

トラブルを防ぐためにも、

「本人への確認 → 退職理由の確認 → 会社側での改善検討 → 登録支援機関への共有 → 退職・転職手続き → 必要な届出」

という流れで、早めに対応しましょう。

特定技能外国人の採用・定着・退職・転職サポートについて

特定技能外国人の採用後には、仕事だけでなく、生活、日本語、住居、職場環境、在留資格など、さまざまなサポートが必要になります。

退職・転職についても、対応が遅れると企業と本人の双方に負担が大きくなる可能性があります。

「外国人材から退職したいと言われたが、どう対応すればよいか分からない」

「転職を希望している特定技能外国人への対応について相談したい」

「退職・転職に伴う手続きを整理したい」

といった場合は、早めに登録支援機関へご相談ください。

外国人材の採用から定着支援、生活支援、退職・転職に関する対応まで、企業と外国人材の双方が安心できる環境づくりをサポートすることが重要です。

※本記事は2026年時点の公開情報をもとに一般的な内容を解説しています。特定技能制度、届出、在留資格変更等の具体的な要件・手続きは変更される場合があります。実際の手続きについては、出入国在留管理庁の最新情報をご確認ください。

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