これからの特定技能採用で企業が意識すべきこと
人手不足が続く中で、外国人材の採用を検討する企業は年々増えています。
求人を出しても日本人の応募が少ない。
若い人材がなかなか定着しない。
現場の高齢化が進み、将来の人員体制に不安がある。
こうした理由から、特定技能外国人の受け入れに関心を持つ企業は、運送業、介護、農業、外食、製造、物流倉庫など、さまざまな業種で増えています。
しかし、これからの外国人材採用では、企業側が一方的に「採用する人を選ぶ」という考え方だけでは不十分です。
今後は、外国人材からも
「この会社で働きたい」
「この会社なら安心して生活できる」
「長く働けそうだ」
と思ってもらえるかどうかが、採用成功の大きなポイントになります。
つまり、外国人材採用は、会社が選ぶ時代から、会社も選ばれる時代へと変わりつつあります。

外国人材を雇用する会社は増えている
厚生労働省の公表によると、令和7年10月末時点の外国人労働者数は2,571,037人、外国人を雇用する事業所数は371,215所となり、いずれも過去最多となっています。(厚生労働省 )
これは、外国人材の受け入れが一部の大企業や都市部だけの話ではなく、全国の中小企業にとっても現実的な採用手段になっていることを示しています。
一方で、外国人材を雇用する会社が増えるということは、外国人材側から見ると「働く会社を比較できる時代」になっているということでもあります。
給与だけでなく、職場の雰囲気、住まい、生活支援、相談できる人の有無、同じ国の先輩がいるか、日本語への理解があるかなど、さまざまな条件を見て、働く会社を選ぶようになります。
「採用できれば終わり」ではない
特定技能外国人を受け入れる場合、企業は雇用契約を結ぶだけでなく、在留資格の手続き、支援計画、生活支援、定期的な届出など、採用後にも多くの対応が必要になります。出入国在留管理庁も、特定技能に関する申請・届出様式や支援関係の書類を公開しており、受け入れ企業には制度に沿った適正な対応が求められます。(法務省 )
特に特定技能1号では、仕事だけでなく、日本で安定して生活するための支援が重要です。
たとえば、住居の確保、生活ルールの説明、行政手続き、銀行口座、携帯電話、病院、交通、ゴミ出し、近隣トラブルへの対応など、日本人社員にはあまり必要のないサポートが必要になることがあります。
この部分を軽く考えてしまうと、せっかく採用できても、早期退職や職場トラブルにつながる可能性があります。
外国人材採用は、単に人を入れることではありません。
職場と生活の両方を整え、長く働ける環境をつくることが重要です。
外国人材が会社を選ぶときに見るポイント
外国人材が会社を選ぶとき、見ているのは給与だけではありません。
もちろん給与や休日、労働時間は大切です。
しかし、それと同じくらい重要なのが、安心して働ける環境があるかどうかです。
たとえば、次のような点です。
・仕事の説明がわかりやすいか
・怒鳴られたり、放置されたりしないか
・困ったときに相談できる人がいるか
・住む場所が確保されているか
・生活面のサポートがあるか
・同僚とのコミュニケーションが取りやすいか
・宗教、食事、文化の違いに最低限の理解があるか
・在留資格や更新手続きについて安心できるか
外国人材にとって、日本で働くことは大きな決断です。
母国を離れ、家族と離れ、日本語や文化の違う環境で生活することになります。
そのため、「給料があるから働くだろう」という考え方だけでは不十分です。
会社側が、外国人材の不安を理解し、働きやすい環境を整えているかどうかが、採用と定着に大きく影響します。
選ばれる会社に共通する特徴
外国人材から選ばれる会社には、いくつかの共通点があります。
まず、採用前の説明が丁寧です。
仕事内容、給与、勤務時間、休日、残業、住居、支援内容について、あいまいにせず、できるだけ具体的に伝えています。
次に、入社後の受け入れ体制があります。
現場任せにせず、誰が教育するのか、誰が相談を受けるのか、困ったときにどこへ連絡するのかを決めています。
また、日本語が完璧でないことを前提に、わかりやすい指示の出し方を工夫しています。
「見て覚えて」「空気を読んで」「普通はわかるでしょ」という指導ではなく、写真、表、チェックリスト、簡単な日本語を使って伝える会社ほど、外国人材は働きやすくなります。
さらに、生活面の支援を大切にしている会社は定着しやすくなります。
仕事で問題がなくても、住居、買い物、交通、病院、近所付き合いなどで困ると、本人の不安は大きくなります。
外国人材の定着には、職場だけでなく、生活の安定も欠かせません。

選ばれにくい会社の特徴
一方で、外国人材から選ばれにくい会社もあります。
たとえば、次のような会社です。
・日本人が集まらないから外国人を採用すればよいと考えている
・安い労働力として考えている
・仕事内容や条件の説明があいまい
・住居や生活支援を十分に考えていない
・現場の教育担当者を決めていない
・外国人材の相談窓口がない
・日本人社員にも不満が多く、離職率が高い
・文化や言葉の違いをすべて本人の努力に任せている
外国人材は、日本人が定着しない職場に自動的に定着するわけではありません。
むしろ、説明不足や支援不足があると、日本人以上に不安を感じやすくなります。
外国人材採用を成功させるためには、まず自社の職場環境を見直すことが大切です。
育成就労制度の開始で、さらに「選ばれる会社」が重要になる
今後、外国人材の受け入れ制度はさらに変わっていきます。
技能実習制度に代わる新しい制度として、育成就労制度が令和9年4月1日から施行される予定です。出入国在留管理庁の公表でも、育成就労制度の施行日は一部の規定を除き令和9年4月1日とされています。(法務省 )
制度が変わる中で、企業に求められるのは、単に外国人材を受け入れることではありません。
人材を育て、定着してもらい、将来的に会社の戦力として活躍してもらう視点がより重要になります。
その意味でも、外国人材採用は「人数を確保する採用」から、「長く働いてもらうための採用」へと変わっていく必要があります。
採用前に企業が確認すべきこと
外国人材を受け入れる前に、企業は次の点を確認しておくことが重要です。
・自社の業種が特定技能の対象になるか
・任せる仕事内容が在留資格に合っているか
・給与や労働条件が適正か
・住居をどう確保するか
・生活支援を誰が行うか
・現場の教育担当者を決めているか
・外国人材が相談できる体制があるか
・登録支援機関にどこまで委託するか
・入社後のフォロー体制があるか
これらを採用後に考えるのではなく、採用前に整理しておくことで、受け入れ後のトラブルを防ぎやすくなります。
まとめ:これからは「選ばれる会社づくり」が採用力になる
外国人材採用は、人手不足を補うための有効な選択肢です。
しかし、採用できれば終わりではありません。
外国人材に長く働いてもらうためには、仕事内容、労働条件、住居、生活支援、職場の受け入れ体制を整える必要があります。
これからの時代、外国人材を採用できる会社とは、単に求人を出している会社ではありません。
外国人材から見て、
「安心して働ける」
「困ったときに相談できる」
「この会社で長く頑張りたい」
と思える会社です。
外国人材採用は、会社が人を選ぶだけではなく、会社も選ばれる時代に入っています。
特定技能外国人の受け入れを検討している企業様は、採用の手続きだけでなく、受け入れ後の支援体制まで含めて準備することが大切です。
当社では、特定技能外国人の採用から、在留資格手続き、受け入れ準備、生活支援、入社後のフォローまで、企業様の状況に合わせてサポートしています。
外国人材の受け入れを検討している企業様は、まずはお気軽にご相談ください。



