「特定技能外国人を採用したいけれど、実際にどのくらいの費用がかかるのか分からない」
「人材紹介会社や登録支援機関に支払う費用はどこまで必要なのか?」
「採用費用だけではなく、入国後にもどのような費用が発生するのか知りたい」
特定技能外国人の採用を検討している企業様から、このようなご相談をいただくことは少なくありません。
特定技能制度を利用して外国人材を採用する場合、人材紹介費用だけを考えればよいわけではありません。採用方法や外国人材の現在の在留状況、海外からの呼び寄せか日本国内からの採用か、登録支援機関を利用するかどうかなどによって、企業が負担する費用は変わります。
また、特定技能1号外国人を受け入れる場合には、入国前の事前ガイダンス、空港送迎、住居確保に関する支援、生活オリエンテーション、相談・苦情への対応、定期的な面談など、一定の支援を適切に実施する必要があります。
本記事では、2026年時点の制度を踏まえ、特定技能外国人を1名採用する場合に企業が検討すべき主な費用を、「採用前」「入国・在留手続き」「入社後」の3つの段階に分けて解説します。
なお、具体的な費用は企業・採用ルート・職種・支援内容などによって異なるため、本記事では一律の料金ではなく、費用の種類と考え方を中心に紹介します。
1.特定技能外国人の採用にかかる主な費用
特定技能外国人を採用する際には、一般的な日本人採用とは異なる費用が発生する場合があります。
代表的なものとして、以下の費用が挙げられます。
- 人材紹介・採用に関する費用
- 在留資格に関する申請・手続き費用
- 登録支援機関への委託費用
- 渡航・入国に関する費用
- 住居確保・生活環境整備に関する費用
- 通訳・翻訳などの費用
- 入社後の給与・社会保険等の人件費
- 日本語教育や職場定着のための費用
ただし、すべての企業がこれらの費用を同じように負担するわけではありません。
例えば、海外在住の外国人を新しく採用する場合と、日本国内ですでに働いている外国人を採用する場合では、必要な手続きや初期費用が異なります。
海外から採用する場合には、採用活動だけでなく、在留資格認定証明書交付申請、査証取得、航空券、空港からの送迎、住居の準備など、入国までに複数の準備が必要になることがあります。
一方、日本国内にいる外国人を採用する場合には、在留資格変更許可申請などが中心となり、海外採用と比較して不要になる費用もあります。
そのため、企業が予算を立てる際には、「特定技能外国人1人=○万円」と単純に考えるのではなく、採用する人材の状況に合わせて費用を整理することが重要です。
特に注意したいのは、初期費用だけを見て判断しないことです。
人材紹介料が安くても、入国後の支援費用や追加サービス費用が別途必要になる場合があります。逆に、初期費用が多少高くても、必要な支援が一つの料金に含まれている場合には、結果的に企業側の負担が分かりやすくなるケースもあります。
つまり、特定技能外国人の採用では、
「採用時にいくらかかるか」だけではなく、「採用から入社後までに総額でいくらかかるのか」
という視点で考えることが重要です。

2.人材紹介・採用費用
特定技能外国人を採用する場合、人材紹介会社や人材紹介事業者などを利用するケースがあります。
特に海外から外国人材を採用する場合、自社だけで候補者を探すことが難しいため、採用活動を専門会社に依頼する企業も少なくありません。
人材紹介にかかる費用は、会社や契約内容、採用する職種、採用国、採用人数などによって異なります。
そのため、「特定技能の人材紹介料は必ず○万円」という全国一律の金額があるわけではありません。
企業が確認すべきなのは、単純な紹介料金だけではありません。
例えば、
- 候補者の募集費用は含まれているか
- 面接の設定・通訳費用は含まれているか
- 採用決定後に追加費用が発生するか
- 早期退職時の返金規定はあるか
- 航空券や渡航関連費用は含まれているか
- 送り出し機関に支払う費用が別途発生するか
- 在留資格申請に関する費用は含まれているか
などを事前に確認することが大切です。
特に海外採用では、企業が「紹介料だけ」を見て契約すると、後から別の費用が発生して想定していた予算を超えてしまうケースがあります。
そのため、契約前には見積書の項目を一つずつ確認し、「採用決定から入国までに企業が最終的に支払う金額」を確認しておくことをおすすめします。
また、複数の人材紹介会社を比較する場合も、単純に最も安い会社を選ぶのではなく、候補者の質、採用後のフォロー、退職時の対応、企業との連絡体制なども含めて比較することが重要です。
外国人材の採用では、「採用できたかどうか」だけではなく、「入社後に長く働いてもらえるか」も重要だからです。

3.在留資格に関する手続き費用
特定技能外国人を受け入れるためには、外国人本人が「特定技能」の在留資格で活動できるよう、必要な在留申請手続きを行う必要があります。
海外から新しく呼び寄せる場合には、一般的に在留資格認定証明書交付申請を行い、その後の査証取得や入国という流れになります。
一方、日本国内にすでに在留している外国人を採用する場合には、在留資格変更許可申請が必要になるケースがあります。
出入国在留管理庁のFAQによると、在留資格認定証明書交付申請は手数料無料で、在留資格変更許可申請や在留期間更新許可申請については、許可時に手数料が必要です。現在の案内では、窓口申請の場合6,000円、オンライン申請の場合5,500円とされています。
ただし、企業が行政書士などの専門家に申請手続きを依頼する場合には、これとは別に専門家への報酬が発生します。
ここで重要なのは、「入管に支払う手数料」と「専門家へ支払う手続き報酬」を分けて考えることです。
例えば、申請そのものに必要な公的手数料が比較的少額であっても、企業側で書類を準備する時間や、専門家へ依頼する場合の費用などを考える必要があります。
また、特定技能では企業側にも一定の受入れ要件があります。出入国在留管理庁によると、受入れ企業そのものが特別な「認定」を受ける制度ではありませんが、特定技能外国人に関する申請の審査において、企業が所定の基準を満たしているか確認されます。
そのため、費用だけではなく、必要書類や企業側の体制を早めに確認しておくことが重要です。

4.登録支援機関への委託費用
特定技能1号外国人を受け入れる企業にとって、特に重要なのが「支援」に関する費用です。
特定技能1号では、外国人が日本で安定して生活し、仕事を続けられるようにするため、受入れ企業に一定の支援が求められます。
企業が自社で支援を実施することもできますが、登録支援機関に支援計画の全部の実施を委託することも可能です。
登録支援機関は、受入れ企業との契約に基づき、1号特定技能外国人支援計画の全部の実施を行う機関です。出入国在留管理庁の運用要領でも、登録支援機関は支援計画の全部を実施できる体制が必要とされています。
そして、ここで非常に重要なポイントがあります。
1号特定技能外国人への義務的支援にかかる費用は、受入れ企業側が負担する必要があります。
出入国在留管理庁の運用要領では、義務的支援に要する費用について、1号特定技能外国人本人に直接・間接に負担させないことが求められており、その費用には登録支援機関への委託費用も含まれるとされています。
したがって、企業が登録支援機関を利用する場合には、月額または年間の支援委託費を採用予算に含めて考える必要があります。
ただし、登録支援機関によって料金体系やサービス内容は異なります。
そのため、「月額料金が安いか高いか」だけではなく、具体的にどの支援が料金に含まれているのかを確認することが重要です。

5.登録支援機関の料金だけで比較してはいけない理由
登録支援機関を選ぶ際、多くの企業が最初に気にするのが「月額いくらですか?」という料金です。
もちろん費用は重要ですが、月額料金だけで登録支援機関を比較することには注意が必要です。
例えば、
A社:月額15,000円
B社:月額25,000円
という料金だけを見ると、A社のほうが安く感じます。
しかし、A社では一部の支援が追加料金になっていて、B社では基本料金に含まれている可能性があります。
また、料金だけでなく、支援担当者の対応力や外国語対応、緊急時の連絡体制、企業への報告方法なども重要です。
特定技能1号の支援では、入国前の事前ガイダンス、生活オリエンテーション、相談・苦情への対応、日本語学習機会の提供に関する支援、定期的な面談など、幅広い対応が必要になります。
そのため、契約前には以下のような項目を確認しておくと安心です。
- 月額料金に含まれる支援内容
- 定期面談の実施方法
- 外国語での相談対応
- 生活上の相談対応
- 会社への報告方法
- 緊急時の連絡体制
- 在留資格更新時のサポート
- 追加料金が発生する業務
- 退職・転職時の対応
- 担当者との連絡方法
登録支援機関は、単に「書類を処理する会社」ではありません。
外国人材と企業の間に入り、外国人が日本で安定して働ける環境をつくる役割もあります。
そのため、企業が登録支援機関を選ぶ際には、
「安いかどうか」ではなく、「料金に対してどのような支援を受けられるのか」
という視点で比較することが重要です。

6.住居・生活環境の準備費用
海外から特定技能外国人を受け入れる場合、住居や生活環境の準備も企業が検討すべき重要なポイントです。
日本で初めて生活する外国人の場合、仕事だけを用意すればすぐに生活できるとは限りません。
住居の確保、電気・ガス・水道、通信環境、家具・家電、生活用品など、入国直後から必要になるものが多くあります。
例えば、
- アパートの初期費用
- 敷金・礼金
- 仲介手数料
- 家具・家電
- 寝具
- 電気・ガス・水道の契約
- Wi-Fiなどの通信環境
- 日用品
- 通勤手段
などです。
特定技能1号外国人への支援では、適切な住居の確保に関する支援も重要な項目の一つです。
ただし、住居費そのものを企業がすべて負担しなければならないという意味ではありません。契約内容や本人負担の範囲などを適切に整理する必要があります。
特に重要なのは、採用前に「誰が何を負担するのか」を明確に説明しておくことです。
例えば、本人が家賃を負担する場合には、給与からどのような形で支払うのか、会社が一時的に立て替えるのか、初期費用を会社が負担するのかなどを事前に決めておく必要があります。
ここを曖昧にしたまま入国すると、入社後に「聞いていた話と違う」というトラブルにつながる可能性があります。
外国人材の定着を考えるなら、採用時の説明を丁寧に行うことが重要です。

7.渡航・入国に関する費用
海外から特定技能外国人を採用する場合、航空券などの渡航関連費用についても事前に確認する必要があります。
特にスリランカ、ベトナム、インドネシア、フィリピンなど、日本国外から人材を採用する場合には、採用決定後に「いつ、どのように日本へ入国するか」というスケジュールを考える必要があります。
渡航に関する費用としては、
- 航空券
- 空港から住居までの移動費
- 空港送迎
- 必要に応じた宿泊費
- 入国時の移動に関する費用
などが考えられます。
ただし、すべてのケースで同じ負担関係になるわけではありません。
出入国在留管理庁も、特定技能外国人の往復航空運賃や空港送迎の交通費について、それぞれのケースに応じた考え方をFAQで示しています。
そのため、企業としては「航空券は誰が負担するのか」「空港から住居までの交通費はどうするのか」などを採用前に確認しておくことが重要です。
また、海外採用では、入国日が決まった後に会社側の準備も必要になります。
例えば、住居の準備、勤務開始日の調整、研修担当者の確保、生活オリエンテーション、必要な備品の準備などです。
単純な航空券代だけではなく、外国人材が「日本に到着してから仕事を開始できる状態になるまで」に必要な費用と準備をまとめて考えると、予算を立てやすくなります。

8.採用後に必要になる「給与・社会保険」
特定技能外国人を採用すると、当然ながら毎月の給与や社会保険などの人件費が発生します。
ここで企業が注意しなければならないのは、
「外国人だから給与を安く設定してよいわけではない」
ということです。
出入国在留管理庁によると、特定技能外国人の報酬額は、日本人が同等の業務に従事する場合の報酬額と同等以上であることが求められます。
また、日本人と比較できる対象者がいない場合でも、賃金規程、職務内容、責任の程度、年齢、経験年数などを踏まえて、報酬額が適切であることを説明できるようにする必要があります。
そのため、採用前に給与条件をしっかり整理することが重要です。
給与以外にも、
- 社会保険
- 労働保険
- 通勤手当
- 住宅関連費用
- 制服・作業着
- 健康診断
- 福利厚生
など、通常の従業員と同様に会社側で考えるべき費用があります。
特定技能外国人を採用する際には、「外国人採用だから特別に安くできる」という考え方ではなく、通常の人材採用と同じように人件費全体を考える必要があります。
むしろ重要なのは、給与だけでなく、長期的に働いてもらうための職場環境を整えることです。
採用費用をかけて人材を採用しても、短期間で退職してしまえば、再採用や教育にさらに費用がかかります。
そのため、企業にとっては「採用コスト」と「定着コスト」をセットで考えることが重要です。

9.結局、1人採用するのにいくら必要?
ここまで紹介したように、特定技能外国人の採用にはさまざまな費用があります。
では、結局「1人採用する場合、企業はいくら準備すればいいのでしょうか?」
実際には、全国一律の金額を提示することはできません。
なぜなら、採用する人材の状況によって費用が大きく変わるからです。
例えば、海外から新しく採用する場合には、
人材紹介費
+ 在留資格関連費用
+ 支援委託費
+ 渡航・入国関連費用
+ 住居・生活環境の準備費用
+ その他の初期費用
という形で考えることができます。
一方、日本国内にいる外国人を採用する場合には、海外からの渡航費用などが不要になるケースがあります。
また、企業が自社で支援を行うのか、登録支援機関に委託するのかによっても費用構造は変わります。
さらに、同じ登録支援機関を利用していても、採用人数や支援内容、外国語対応、追加サービスなどによって料金が異なる場合があります。
そのため、企業が予算を考える際には、
「特定技能1人=○万円」
という考え方より、
「自社の採用ケースでは、採用決定から入社後までに何の費用が必要なのか」
を一つずつ確認することをおすすめします。
特に初めて外国人材を採用する企業の場合、最初に「費用項目一覧」を作っておくと、予算管理がしやすくなります。

10.特定技能外国人の採用費用を抑えるポイント
特定技能外国人の採用費用を抑えるために、単純に一番安い会社を選ぶことが正解とは限りません。
重要なのは、「必要な費用」と「不要な費用」を整理し、採用後のトラブルや早期退職による追加コストを防ぐことです。
まず大切なのは、採用から入社後までの総額を確認することです。
人材紹介費だけを比較するのではなく、在留資格手続き、登録支援機関への委託費、渡航費、住居関連費などを含めて比較しましょう。
次に、契約前に追加料金を確認します。
例えば、通常の支援は月額料金に含まれていても、在留資格更新、転職相談、緊急対応、通訳などが別料金になっている場合があります。
また、複数人を採用する企業では、採用人数によって料金体系が変わる可能性があります。
さらに重要なのが、早期離職を防ぐことです。
採用した外国人材が数か月で退職してしまえば、企業は再び採用活動を行う必要があります。
再募集、面接、在留手続き、教育、現場の人員調整など、目に見えないコストも発生します。
そのため、採用費用を抑えるためには、「安く採用する」よりも「適切な人材を採用し、長く働いてもらう」ことが重要です。
そのためには、採用前に仕事内容、給与、勤務時間、夜勤、休日、住居費、生活ルールなどをできるだけ具体的に説明しておくことが有効です。
企業と外国人材の双方が仕事内容や条件を正しく理解した上で入社することが、長期的な定着につながります。

まとめ|「安さ」より「総額」と「支援内容」を確認しましょう
特定技能外国人を採用する場合、企業側には人材紹介費、在留資格関連費用、登録支援機関への委託費、住居・生活環境の準備費用、渡航関連費用、そして採用後の給与・社会保険など、さまざまな費用が発生する可能性があります。
特に特定技能1号では、義務的支援にかかる費用を外国人本人に負担させることはできず、受入れ企業側で負担する必要があります。登録支援機関への委託費用もこの「支援に要する費用」に含まれます。
そのため、登録支援機関を選ぶ際には、
「月額料金はいくらか?」
だけを見るのではなく、
「何が料金に含まれているのか?」
「追加料金はあるのか?」
「入国後にどこまで対応してもらえるのか?」
を確認することが大切です。
また、特定技能外国人の給与についても、日本人が同等の業務に従事する場合の報酬額と同等以上であることが求められます。
外国人材の採用は、単に「人手不足を解消するための採用」ではありません。
採用した人材が安心して生活し、職場に適応し、長く働いてもらえる環境をつくることが、企業にとっての本当の採用成功につながります。
採用費用だけではなく、「採用から定着までの総コスト」と「支援の質」を合わせて考えることが、特定技能外国人の採用を成功させるポイントです。
特定技能外国人の採用をご検討の企業様へ
「特定技能外国人を採用したいが、何から始めればよいか分からない」
「海外から人材を採用する場合の費用を知りたい」
「登録支援機関にどこまで依頼できるのか知りたい」
「採用後の生活・職場支援について相談したい」
このようなお悩みをお持ちの企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。
当社では、特定技能外国人の採用から入国後の支援まで、企業様の状況に合わせてサポートしています。
採用する国・職種・人数・現在の外国人材の在留状況などを確認した上で、必要な手続きや支援内容についてご案内いたします。
特定技能外国人の採用・受入れについて、まずはお気軽にお問い合わせください。
※本記事は2026年8月時点の公開情報をもとに作成しています。制度、手数料、必要書類、支援内容等は変更される場合があります。実際の受入れにあたっては、最新の出入国在留管理庁等の公的情報をご確認ください。


