はじめに
特定技能は、日本国内で人手不足が深刻な産業分野において、一定の技能や日本語能力を持つ外国人が働くための在留資格です。一般的には「特定技能ビザ」と呼ばれることもあります。
特定技能制度は2019年に開始され、現在では多くの企業が特定技能外国人を受け入れています。ただし、特定技能の在留資格を取得するためには、試験への合格や企業との雇用契約、在留資格の申請など、いくつかの手続きを順番に進めなければなりません。
ここでは、特定技能ビザを取得して日本で働き始めるまでの流れを、7つのステップに分けてわかりやすく解説します。


ステップ1|技能試験・日本語試験に合格する
特定技能1号を取得するためには、原則として、働く分野ごとに実施される技能試験と日本語試験に合格する必要があります。
技能試験では、実際の業務に必要となる知識や技能が確認されます。日本語試験については、一般的に「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」または「日本語能力試験(JLPT)N4以上」への合格が必要です。分野によっては、これらとは別に追加の試験が設けられている場合もあります。
技能実習2号を良好に修了した外国人は、技能実習の職種と特定技能の分野との関係などにより、試験の全部または一部が免除される場合があります。
まずは、自分が試験を受ける必要があるのか、どの試験に合格しなければならないのかを確認することが大切です。
ステップ2|受入れ企業へ応募する
試験への合格後は、特定技能外国人を募集している日本の企業へ応募します。
外国人本人が求人へ直接応募するほか、ハローワークや許可を受けた職業紹介事業者などを利用して仕事を探す方法もあります。
企業は、応募者の職歴や技能、日本語能力、人柄などを確認し、書類選考や面接を行います。海外に住んでいる外国人の場合は、オンライン面接が行われることもあります。
選考を通じて企業と外国人の双方が条件を確認し、採用が決定した後、正式な雇用契約の締結へ進みます。

ステップ3|企業と雇用契約を結ぶ
採用が決定したら、受入れ企業と外国人の間で雇用契約を締結します。
雇用契約を結ぶ際には、主に次のような労働条件を確認します。
・担当する仕事内容
・勤務場所
・勤務時間や休憩時間
・休日や休暇
・給与や手当
・社会保険
・契約期間や更新の有無
特定技能制度では、外国人であることを理由に不当に低い給与を設定することは認められていません。同じ業務を行う日本人と同等以上の報酬を支払う必要があります。
外国人本人が契約内容を十分に理解できるよう、本人が理解できる言語で説明し、不明点を確認したうえで契約を結ぶことが重要です。
ステップ4|支援計画を作成し、受入れ準備を進める
特定技能1号の外国人を受け入れる企業は、外国人が日本で安心して生活し、働けるようにするための支援計画を作成します。
支援計画には、主に次のような内容が含まれます。
・入国前の事前ガイダンス
・入国時や帰国時の送迎
・住居の確保や生活に必要な契約の支援
・日本で生活するためのオリエンテーション
・市役所などで行う行政手続きへの同行
・日本語学習の機会に関する情報提供
・相談や苦情への対応
・日本人との交流を促進するための支援
・定期的な面談
受入れ企業が自社で支援を行うことが難しい場合は、支援業務の全部または一部を登録支援機関へ委託することができます。
在留資格の申請と並行して、住居、生活用品、勤務開始後の教育体制なども準備しておく必要があります。

ステップ5|特定技能の在留資格を申請する
雇用契約や支援計画の準備が整ったら、必要書類をそろえて地方出入国在留管理局へ申請します。
海外に住んでいる外国人を日本へ呼び寄せる場合は、原則として「在留資格認定証明書交付申請」を行います。
すでに日本国内に住んでいる外国人が、留学や技能実習などの在留資格から特定技能へ変更する場合は、「在留資格変更許可申請」を行います。
申請には、外国人本人に関する書類だけでなく、受入れ企業、雇用契約、報酬、支援体制などに関する多くの書類が必要です。
書類に不足や記載ミスがあると、追加書類を求められたり、審査に時間がかかったりする可能性があります。提出前に、必要書類と記載内容を十分に確認することが重要です。

ステップ6|査証を取得して日本へ入国する
海外から日本へ来る場合は、在留資格認定証明書が交付された後、現地の日本大使館や総領事館などで査証を申請します。
査証が発給されたら、航空券や入国日程を調整し、日本へ入国します。
対象となる空港から入国した場合は、原則として入国時に在留カードが交付されます。在留カードは、日本での在留資格や在留期間などが記載された重要な身分証明書です。
入国後の手続きを円滑に進めるため、受入れ企業や登録支援機関は、空港から住居までの移動や入居に必要な準備を事前に整えておきます。
ステップ7|生活手続きを行い、勤務を開始する
日本への入国後は、住居地の届出や社会保険への加入など、生活と就労に必要な手続きを行います。
必要に応じて、銀行口座の開設、携帯電話の契約、電気・ガス・水道などの利用手続きも進めます。
生活に必要な準備が整ったら、受入れ企業での勤務を開始します。企業は、仕事内容や職場のルール、安全衛生、相談窓口などについて説明し、外国人が職場へ適応できるようサポートします。
就労開始後も、定期的な面談や相談対応を通じて、仕事や生活上の問題がないかを確認します。外国人が安心して働き続けられる環境を整えることは、受入れ企業にとって重要な役割です。
特定技能ビザ取得までにかかる期間
特定技能ビザの取得にかかる期間は、試験日程、採用活動、書類の準備状況、在留資格の審査状況などによって異なります。
特に海外から外国人を受け入れる場合は、次のような期間を考慮して、余裕を持って準備する必要があります。
・技能試験や日本語試験の受験と結果発表
・求人への応募、面接、採用決定
・雇用契約や支援計画の作成
・在留資格認定証明書の交付申請
・現地での査証申請
・航空券や住居などの入国準備
申請内容に問題がない場合でも、在留資格の審査には一定の期間が必要です。追加書類の提出を求められた場合や、申請が集中する時期には、通常よりも時間がかかることがあります。
入社予定日から逆算し、早めに準備を始めることが大切です。
まとめ
特定技能ビザを取得して働き始めるまでには、試験への合格、企業への応募、雇用契約、支援計画の作成、在留資格の申請、査証の取得、入国後の生活手続きという流れがあります。
手続きを円滑に進めるためには、外国人本人だけでなく、受入れ企業や登録支援機関などの関係者が連携し、必要な準備を計画的に進めることが重要です。
制度や必要書類を正しく確認し、外国人が安心して日本で働き続けられる環境を整えることで、外国人材と受入れ企業の双方にとって、より良い雇用につながります。



