日本では、少子高齢化や生産年齢人口の減少を背景に、多くの業界で人手不足が深刻化しています。こうした状況を受け、外国人材を採用し、企業の人材確保につなげる取り組みが広がっています。
その中でも「特定技能」は、一定の専門性・技能を持つ外国人材を日本で受け入れるための在留資格として、多くの企業から注目されています。
特定技能には、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があります。両者は名称が似ていますが、求められる技能水準、在留期間、家族帯同の可否、企業による支援の必要性などに大きな違いがあります。
特に、外国人材を長期的な戦力として育成したい企業にとっては、1号から2号へのキャリア形成を見据えた採用・育成計画を立てることが重要です。
本記事では、特定技能1号・2号の基本的な違いから、企業にとってのメリット、キャリア形成、スリランカ人材の受入れ、登録支援機関の役割まで、受入れ企業が知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。
1.特定技能1号とは?
特定技能1号は、特定産業分野において、相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人材を受け入れるための在留資格です。
人手不足が深刻な分野において、一定の技能を持った外国人材を即戦力として受け入れることを目的としています。
特定技能1号の取得には、原則として、従事する分野の技能水準を確認する「技能試験」と、日本語能力を確認する試験の合格が必要です。
ただし、日本語能力については、すべての分野で同じ試験・同じ基準が適用されるわけではありません。分野によって必要な日本語能力や認められる試験が異なるため、実際の採用時には、対象分野の最新の運用要領を確認する必要があります。
また、技能実習2号を良好に修了した場合など、一定の要件を満たす場合には、技能試験・日本語試験の全部または一部が免除される場合があります。
特定技能1号の大きな特徴は「支援」が必要なこと
特定技能1号の外国人材を受け入れる場合、受入れ企業には、法令に基づく支援を適切に実施することが求められます。
支援には、例えば以下のような内容が含まれます。
- 入国前の事前ガイダンス
- 日本での生活や仕事に関する説明
- 出入国時の送迎
- 住居確保に関する支援
- 銀行口座開設や携帯電話契約などの支援
- 生活オリエンテーション
- 日本語学習に関する支援
- 相談・苦情への対応
- 行政手続きに関する支援
- 定期的な面談
受入れ企業が必要な支援体制を整えることが難しい場合には、出入国在留管理庁に登録された「登録支援機関」に支援業務を委託することができます。
なお、2027年4月1日施行予定の制度改正に向けて、1号特定技能外国人への支援体制に関する要件も見直されています。企業は今後の制度変更についても継続的に確認することが重要です。

2.特定技能2号とは?
特定技能2号は、特定産業分野において「熟練した技能」を必要とする業務に従事する外国人材を対象とした在留資格です。
特定技能1号よりも高い技能水準が求められ、長年の実務経験などによって身につけた熟練した技能を、試験や実務経験などによって確認します。
例えば、自らの判断によって専門的・技術的な業務を遂行できることや、一定の場合には監督者として業務を統括しながら熟練した技能を発揮できることなどが想定されています。
重要なのは、特定技能1号を一定期間経験すれば、自動的に2号へ移行できるわけではないという点です。
特定技能2号へ変更するためには、分野ごとに定められた技能試験や実務経験などの要件を満たす必要があります。
特定技能2号の大きな特徴
特定技能2号には、次のような特徴があります。
- 在留期間の通算上限がない
- 一定の要件を満たせば家族帯同が可能
- 特定技能1号のような支援義務の対象外
- より高度な技能・実務経験が求められる
- 長期的なキャリア形成が可能
特定技能2号の在留期間は、3年、1年または6月などが設定され、更新を行うことで通算の在留期間に上限なく日本で働くことが可能です。

3.特定技能1号と2号の主な違い
特定技能1号と2号の違いを整理すると、以下のようになります。
| 項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
| 技能水準 | 相当程度の知識・経験を必要とする技能 | 熟練した技能 |
| 在留期間 | 通算で原則5年以内 | 通算の上限なし |
| 家族帯同 | 原則不可 | 一定の要件を満たせば可能 |
| 日本語能力 | 分野ごとに定められた基準を満たす必要あり | 特定技能1号のような一律の日本語試験要件ではない |
| 技能試験 | 原則必要 | 分野ごとに定められた試験等が必要 |
| 実務経験 | 分野による | 分野ごとに一定の実務経験等が求められる場合がある |
| 支援 | 1号特定技能外国人支援の対象 | 1号のような支援義務の対象外 |
| キャリア | 現場で技能・経験を積む段階 | 熟練人材として長期的に活躍する段階 |
特定技能1号は、通算在留期間が原則5年以内です。一方、特定技能2号には通算在留期間の上限がありません。
また、特定技能2号では、一定の要件を満たすことで配偶者や子どもが「家族滞在」の在留資格で日本に滞在することが可能です。
永住許可との関係にも注意
特定技能2号は長期就労につながる在留資格ですが、「2号になれば自動的に永住できる」という意味ではありません。
永住許可には、原則として一定期間の在留や就労資格での在留期間など、複数の要件があります。
出入国在留管理庁によれば、特定技能1号の在留期間は永住許可に必要な就労資格での在留期間として扱われない一方、特定技能2号の在留期間はその期間に含まれます。
そのため、将来的に日本で長期的な生活基盤を築きたい外国人材にとって、特定技能2号は重要なキャリアステップの一つとなります。

4.企業にとって特定技能1号を活用するメリット
特定技能1号を活用する大きなメリットは、一定の技能や日本語能力を確認した外国人材を、人手不足の現場に受け入れられることです。
介護、建設、製造、宿泊、農業、飲食料品製造、外食など、さまざまな分野で特定技能外国人の受入れが行われています。
さらに、2024年以降、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業なども対象分野に追加され、制度の活用範囲は広がっています。2026年6月時点でも、出入国在留管理庁は複数の分野について最新の運用情報を公開しています。
企業にとっては、国内だけでは確保が難しい人材を海外から採用したり、日本国内に在住する外国人材を採用したりすることで、人材不足の解消につなげることができます。
一方、1号の受入れでは生活・就労支援が必要となるため、採用前に「誰が、どのように支援するのか」を明確にしておくことが重要です。
自社で対応するのが難しい場合には、登録支援機関を活用することで、支援業務の負担を軽減できます。

5.企業にとって特定技能2号を活用するメリット
特定技能2号の大きなメリットは、経験を積んだ外国人材を長期的な戦力として活用できることです。
特定技能1号として一定期間働いた外国人材が、業務経験を積み、技能を高め、2号の要件を満たすことができれば、企業にとっても貴重な熟練人材となります。
長期間同じ業界で経験を積んだ人材は、
- 業務内容を深く理解している
- 現場の安全ルールを理解している
- 日本語での業務コミュニケーションに慣れている
- 企業独自の仕事の進め方を理解している
- 後輩社員への指導を担える可能性がある
など、企業にとってさまざまな価値を持つようになります。
また、特定技能2号では家族帯同が可能となるため、外国人材が日本で長期的な生活基盤を築きやすくなることも、定着促進につながる重要なポイントです。
企業側にとっても、採用・教育にかけたコストを長期的に活かしやすくなり、熟練人材の確保や技術継承につながります。

6.特定技能1号から2号へのキャリア形成
外国人材を長期的な戦力として活用したい企業にとって、採用時点からキャリアパスを意識することが重要です。
「1号で5年間働いて終わり」と考えるのではなく、本人の能力や希望、所属する分野の制度を確認しながら、将来的な2号へのステップアップを検討することができます。
例えば、以下のような育成計画が考えられます。
① 必要な技能を明確にする
特定技能2号を目指す場合、分野ごとに必要な技能試験や実務経験などが異なります。
そのため、入社後できるだけ早い段階で、本人が将来必要となる条件を確認しておくことが大切です。
② 日本語能力を継続的に高める
法令上の試験要件だけでなく、実際の職場で長く活躍するためには、日本語によるコミュニケーション能力も重要です。
業務上の指示を理解するだけでなく、報告・連絡・相談、後輩への説明、業務上のトラブル対応などができる日本語力を段階的に身につけることが望まれます。
③ リーダー業務を経験させる
本人の能力や職場の状況に応じて、後輩の指導、作業確認、安全管理の補助など、より責任のある業務を経験してもらうことも効果的です。
④ 定期的にキャリア面談を行う
「将来どのような仕事をしたいのか」「どの資格を取得したいのか」「2号を目指すのか」などについて定期的に話し合うことで、本人の目標と企業の人材育成方針を一致させることができます。
こうした取り組みは、外国人材のモチベーション向上だけでなく、離職防止や企業への定着にもつながります。

7.スリランカ人材の受入れを検討する企業へ
近年、日本で働くことを希望するスリランカ人材にも注目が集まっています。
スリランカでは日本語教育や日本での就労に関する教育を受け、日本でのキャリア形成を目指す人材も増えています。
介護、製造、農業、外食、宿泊、建設など、特定技能制度の対象となるさまざまな分野で、スリランカ人材の採用を検討する企業が増えています。
ただし、外国人材の採用を成功させるためには、国籍だけで人材を判断するのではなく、本人の技能、日本語能力、職務経験、仕事への適性、キャリア希望などを総合的に確認することが重要です。
また、日本とスリランカでは、言語や生活習慣、仕事の進め方、コミュニケーション方法などに違いがあります。
そのため、採用前から以下の点を丁寧に説明することが大切です。
- 日本の職場ルール
- 勤務時間・休憩・休日
- 報告・連絡・相談
- 給与・税金・社会保険
- 生活上のルール
- 会社内のコミュニケーション
- 安全管理
- 将来のキャリア
また、日本人社員側にも外国人材の文化・コミュニケーションに関する理解を深めてもらうことで、双方にとって働きやすい職場環境をつくることができます。

8.登録支援機関の役割
特定技能1号外国人を受け入れる企業にとって、生活・就労支援を適切に実施することは重要な業務の一つです。
しかし、外国人材の採用、入国手続き、住居確保、生活支援、相談対応、定期面談などを企業だけで対応することは、担当者に大きな負担となる場合があります。
そこで活用できるのが「登録支援機関」です。
登録支援機関とは、出入国在留管理庁への登録を受け、受入れ企業から委託を受けて、1号特定技能外国人に対する支援業務を行う機関です。
登録支援機関を活用することで、企業は以下のようなメリットを得られます。
本業に集中できる
外国人材の生活支援や相談対応などを外部に委託することで、企業担当者は業務管理や技術指導など、本来の業務に集中しやすくなります。
制度変更への対応をしやすくなる
特定技能制度は、対象分野や申請手続き、支援体制などが継続的に見直されています。
専門的な知識を持つ登録支援機関と連携することで、制度変更への対応を進めやすくなります。
外国人材とのコミュニケーションをサポートできる
外国人材が仕事や生活について困った場合、会社の上司には相談しにくいケースもあります。
母国語などで相談できる環境を整えることで、問題の早期発見やトラブル防止につながります。

9.特定技能1号・2号を活用する際に企業が意識したいこと
特定技能制度を人手不足解消だけの手段として考えるのではなく、「人材育成・定着」の仕組みとして活用することが重要です。
特に企業が意識したいのは、次の5つです。
① 採用前に仕事内容を明確にする
入社後のミスマッチを防ぐため、仕事内容、勤務時間、給与、休日、勤務地などを事前に明確に説明します。
② 日本語教育を継続する
入社時点の日本語能力だけを見るのではなく、仕事をしながら継続的に日本語力を高められる環境を整えます。
③ キャリアパスを提示する
「どのような経験を積めば次のステップに進めるのか」を明確にすることで、外国人材のモチベーション向上につながります。
④ 日本人社員との相互理解を進める
外国人材だけに日本の文化を理解してもらうのではなく、受入れ側の日本人社員も異文化理解を深めることが重要です。
⑤ 制度変更を継続的に確認する
特定技能制度は継続的に見直されています。2026年も対象分野や運用、支援体制などについて更新が行われています。
そのため、古い情報だけで判断せず、出入国在留管理庁や各分野を所管する行政機関の最新情報を確認することが重要です。

まとめ|特定技能1号・2号を「人材育成」につなげる
特定技能1号と2号は、同じ「特定技能」という制度の中にありますが、求められる技能水準や在留期間、家族帯同、支援の仕組みなどに大きな違いがあります。
特定技能1号は、一定の技能を持つ外国人材を受け入れ、必要な支援を行いながら現場で経験を積んでもらう段階です。在留期間は通算で原則5年以内です。
特定技能2号は、より高い技能水準を持つ熟練人材を対象とし、在留期間の通算上限がなく、一定の要件を満たせば家族帯同も可能です。
ただし、1号から2号へは自動的に移行できるわけではありません。分野ごとに定められた試験や実務経験などの要件を満たす必要があります。
そのため、受入れ企業にとって重要なのは、外国人材を「一時的な労働力」としてだけ考えるのではなく、採用・育成・定着までを含めた中長期的な人材戦略として特定技能制度を活用することです。
特定技能1号で経験を積み、技能を高め、将来的に特定技能2号を目指すというキャリアパスを企業と外国人材が共有することで、優秀な人材の定着や技術継承にもつながります。
特に、外国人材の採用においては、採用前の仕事内容の説明から、入国手続き、住居・生活支援、日本語教育、職場への定着、キャリア形成まで、一貫したサポート体制を整えることが重要です。
当社では、特定技能外国人の採用を検討されている企業様に対し、人材のご提案から各種手続き、入国後の生活・就労支援まで、企業様の状況に合わせたサポートを行っています。
「特定技能1号と2号の違いを詳しく知りたい」
「外国人材を採用したいが、何から始めればよいかわからない」
「スリランカ人材の採用を検討している」
「特定技能外国人の生活支援や定着支援について相談したい」
「将来的な特定技能2号へのキャリア形成も考えたい」
このようなお悩みをお持ちの企業様は、お気軽にご相談ください。
貴社の事業内容や人材ニーズを踏まえ、採用から定着、キャリア形成までを見据えた外国人材活用をご提案いたします。


