特定技能「外食業」の新規受け入れ停止へ|外食企業が今すぐ確認すべきこと

特定技能「外食」受け入れ制限

外食業界では、慢性的な人手不足が続いています。

求人を出しても応募が集まらない。
アルバイトの定着が難しい。
営業時間を短縮せざるを得ない。
店舗展開をしたくても人材が足りない。

こうした状況の中で、特定技能「外食業分野」による外国人材の受け入れは、多くの飲食店・外食企業にとって重要な人材確保の手段となっていました。

しかし、2026年に入り、外食業分野の特定技能1号について大きな動きがありました。
外食業分野の受入れ人数が政府の定める上限に達する見込みとなり、新規受け入れに関する手続きが一時的に停止されることになったのです。

外食業分野で何が起きたのか

特定技能「外食」何が止まり、何が継続できる?

農林水産省および出入国在留管理庁の発表によると、外食業分野の特定技能1号在留者数は、2026年5月頃に受入れ見込数である5万人を超えることが見込まれる状況となりました。

そのため、2026年4月13日以降に受理された外食業分野の在留資格認定証明書交付申請については、不交付とされることになりました。

簡単に言えば、海外にいる外国人を外食業の特定技能1号として新たに呼び寄せる手続きが、原則として止まったということです。

また、外食業の特定技能1号評価試験についても、国内外ともに試験予約手続きが停止されています。試験の再開時期については、現時点で明確な見通しは示されていません。

すべての手続きが止まったわけではない

ここで注意が必要なのは、「外食業の特定技能がすべて使えなくなった」という意味ではないことです。

すでに外食業分野で特定技能1号として在留している外国人の在留期間更新については、通常どおり審査されます。

また、すでに外食業分野で特定技能1号として働いている人が、別の外食企業へ転職する場合の申請についても、通常どおり審査される扱いとなっています。

つまり、今回大きく影響を受けるのは、主に次のようなケースです。

・海外から外食業の特定技能1号人材を新たに呼び寄せる場合
・他の在留資格から外食業分野の特定技能1号へ変更しようとする場合
・これから外食業の特定技能1号試験を受けて人材を確保しようとしていた場合

一方で、すでに日本国内で外食業の特定技能1号として働いている人材については、転職・更新の可能性が残されています。

なぜ外食業だけが問題になったのか

特定技能制度には、分野ごとに「受入れ見込数」が設定されています。

これは、各産業分野でどの程度の外国人材を受け入れるかについて、政府が一定の見込み数を定めているものです。外食業分野では、2024年度から2028年度までの5年間の受入れ上限が5万人とされています。

外食業は、コロナ禍後の需要回復、人手不足、アルバイト採用難などの影響により、特定技能外国人の受け入れが急速に進みました。

その結果、制度上の上限に想定より早く近づき、新規受け入れ停止という措置につながったと考えられます。

外食企業が今後注意すべきこと

今回の停止措置により、外食企業の外国人採用は、これまでよりも計画的に進める必要があります。

特に注意すべきなのは、「採用したいと思った時に、すぐに海外から人材を呼べるとは限らない」という点です。

今後は、次のような視点が重要になります。

1、現在雇用している外国人材の定着を重視すること

新規採用が難しくなるほど、既存人材に長く働いてもらうことの重要性は高まります。給与、勤務時間、住居、相談体制、教育体制などを整え、離職を防ぐことが大切です。

2、国内にいる特定技能人材の転職市場を確認すること


外食業分野内での転職は通常どおり審査されるため、すでに外食業で特定技能1号として働いている人材を採用するルートは残されています。ただし、条件面や支援体制が不十分な企業には、人材が集まりにくくなる可能性があります。

3、外食業以外の分野との違いも確認する


たとえば、飲食料品製造業、介護、農業、自動車運送業など、業種によって受け入れ可能な業務内容や要件は異なります。自社の事業内容がどの分野に該当するのか、安易に判断せず、制度上の要件を確認することが重要です。

「とりあえず採用」ではなく、制度確認が必要な時代へ

今回の外食業分野の受け入れ停止は、特定技能制度が無制限に使える制度ではないことを示しています。

今後、他の分野でも人材の増加状況によっては、同じように上限が意識される可能性があります。

そのため、外国人材の採用を検討している企業は、単に「人が足りないから採用したい」という段階から、次のような確認を行う段階へ進む必要があります。

・自社の業務がどの特定技能分野に該当するのか
・現在、その分野で新規受け入れが可能か
・海外から呼び寄せるのか、国内在留者を採用するのか
・在留資格変更や更新の見込みはあるのか
・採用後の支援体制を自社で行うのか、登録支援機関に委託するのか

特定技能制度は、人手不足解消の有効な手段である一方、制度の変更や運用状況によって採用計画が大きく左右されます。

まとめ

特定技能「外食業分野」は、受入れ上限に達する見込みとなったことから、新規受け入れに関する手続きが一時的に停止されています。

特に、海外から新たに外食業の特定技能1号人材を呼び寄せる場合には、大きな影響があります。

一方で、すでに外食業分野で特定技能1号として在留している外国人の更新や、外食業分野内での転職については、引き続き審査される扱いです。

外食企業にとっては、今後の採用方法を見直す重要なタイミングです。
新規採用だけでなく、既存人材の定着、国内在留者の採用、支援体制の整備を含めて、早めに方針を確認することが大切です。

外国人材の採用を検討している企業様は、制度の最新状況を確認したうえで、自社に合った受け入れ方法を検討していきましょう。