はじめに
特定技能制度というと、これまでは介護、農業、建設、外食、製造業、自動車運送業などを思い浮かべる方が多かったかもしれません。
しかし、今後注目される分野の一つに「物流倉庫分野」があります。
近年、物流業界では、トラックドライバー不足だけでなく、倉庫内作業、仕分け、検品、ピッキング、出荷準備、在庫管理など、物流センターや倉庫現場でも人手不足が大きな課題となっています。
EC市場の拡大、配送量の増加、多品種少量出荷への対応などにより、物流倉庫の役割はますます重要になっています。そのような中で、特定技能に「物流倉庫分野」が加わることは、物流業界にとって大きな意味があります。
この記事では、物流倉庫分野で特定技能外国人材を活用する可能性や、企業が今から確認しておきたいポイントをわかりやすく解説します。

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物流倉庫分野とは?
物流倉庫分野とは、倉庫や物流センターなどで行われる貨物の入出庫、保管、検品、仕分け、ピッキング、流通加工、在庫管理などの業務を対象とする分野です。
これまで物流業界では、トラック、タクシー、バスなどの自動車運送業が特定技能の対象として注目されてきました。
一方で、実際の物流現場では、運ぶ前後の「倉庫内作業」も非常に重要です。
たとえば、
・入荷した商品の検品
・商品ごとの仕分け
・ピッキング作業
・ラベル貼りやセット組みなどの流通加工
・出荷前の確認
・在庫管理
・荷物の移動や格納
といった作業がスムーズに行われなければ、配送そのものも円滑に進みません。
つまり、物流倉庫分野は、運送業と密接につながる「物流の土台」といえる分野です。
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なぜ物流倉庫分野が注目されているのか
物流倉庫分野が注目される背景には、いくつかの理由があります。
まず、物流業界全体で人手不足が続いていることです。ドライバー不足だけでなく、倉庫内で働く人材の確保も難しくなっています。
特に、繁忙期には出荷量が急増し、一時的に多くの人手が必要になることがあります。年末年始、セール時期、季節商品の出荷時期などは、現場の負担が大きくなりやすい時期です。
また、倉庫内作業は単純作業に見えても、実際には正確性や安全意識が求められます。商品を間違えずに扱うこと、数を正確に確認すること、破損を防ぐこと、フォークリフトや台車などの周囲で安全に作業することなど、現場で身につけるべきことは多くあります。
そのため、今後は「短期的な人手不足を補う」だけではなく、外国人材を計画的に育成し、長く活躍してもらう視点が重要になります。
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特定技能で従事できる主な業務
物流倉庫分野で想定される主な業務には、次のようなものがあります。
・入出庫貨物の受渡し
・検品
・貨物の移動
・保管庫への格納
・ピッキング
・仕分け
・流通加工
・出荷準備
・在庫管理
・作業場所の整理整頓や清掃
・安全衛生や教育訓練への参加
ここで重要なのは、物流倉庫分野は「倉庫であれば何でもよい」というものではなく、対象となる業務や受入れ事業者の条件を確認する必要があるという点です。
たとえば、流通加工についても、商品を流通させるために必要な小分け再包装、ラベル貼り、タグ付け、セット組みなどは想定されますが、商品そのものを製造したり、性能を高めたりする作業は、別の分野や業務に該当する可能性があります。
そのため、自社の業務が物流倉庫分野に該当するかどうかは、事前に慎重に確認することが大切です。

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受け入れが想定される事業者
物流倉庫分野では、主に次のような事業者が受入れ対象として想定されています。
1つ目は、倉庫業の登録を受けた倉庫業者で、自ら倉庫作業を行う事業者です。
2つ目は、倉庫業の登録を受けた事業者から委託を受け、その倉庫で倉庫作業を行う事業者です。
3つ目は、一般貨物自動車運送業や特定貨物自動車運送業の許可を受けた事業者で、自社の倉庫や物流センターなどで倉庫作業を行う事業者です。
この点は、運送会社にとって非常に重要です。
なぜなら、運送会社の中には、単に荷物を運ぶだけでなく、倉庫、配送センター、仕分け場、荷主の物流拠点などで、入出庫や保管、ピッキング、出荷準備などを行っている会社も多いからです。
つまり、今後は「ドライバーとしての特定技能」だけでなく、「倉庫内作業を担う特定技能外国人材」という選択肢も検討できる可能性があります。
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運送業との違い

自動車運送業分野と物流倉庫分野は、どちらも物流に関係する分野ですが、役割は異なります。
自動車運送業分野は、トラック、タクシー、バスなど、車両を運転して人や物を運ぶ業務が中心です。そのため、日本の運転免許、安全運転、点呼、運行管理、交通ルールの理解などが重要になります。
一方、物流倉庫分野は、倉庫内での貨物の受入れ、保管、仕分け、検品、出荷準備などが中心です。こちらでは、作業手順、数量確認、在庫管理、安全衛生、報告・連絡・相談などが重要になります。
運送業と物流倉庫分野は別の分野として考える必要がありますが、実際の物流現場では強くつながっています。
そのため、運送会社が外国人材の活用を考える場合は、
・ドライバーとして受け入れるのか
・倉庫内作業員として受け入れるのか
・将来的にどの業務を任せたいのか
・日本語能力や資格取得をどう支援するのか
を整理しておくことが大切です。
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物流倉庫分野で外国人材を活用するメリット
物流倉庫分野で外国人材を活用するメリットは、人手不足の解消だけではありません。
まず、現場の安定化につながります。人手が足りない状態が続くと、既存社員に負担が集中し、ミスや離職につながることがあります。外国人材を計画的に受け入れることで、現場の作業量を平準化しやすくなります。
次に、繁忙期への対応力が高まります。物流倉庫では、時期によって荷物量が大きく変動します。安定して働ける人材を確保することは、出荷遅延や作業ミスの防止にもつながります。
また、外国人材を育成することで、長期的な人材確保にもつながります。特定技能1号は一定期間の在留が可能であり、業務を覚えた人材が継続して活躍することで、現場の戦力化が期待できます。
さらに、多国籍人材の受入れを進めることで、会社全体の教育体制やマニュアル整備が進むこともあります。作業手順をわかりやすく整理することは、日本人社員にとってもメリットがあります。
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受入れ前に確認すべきポイント

物流倉庫分野で特定技能外国人材を受け入れる場合、企業は次の点を確認しておく必要があります。
- 自社が対象となる事業者に該当するか
まず、自社が物流倉庫分野で外国人材を受け入れられる事業者に該当するかを確認する必要があります。
倉庫業の登録、貨物自動車運送業の許可、実際に行っている倉庫作業の内容などを整理しておきましょう。
- 任せる業務が対象業務に該当するか
次に、外国人材に任せる業務が物流倉庫分野の対象業務に該当するかを確認します。
検品、ピッキング、仕分け、出荷準備、在庫管理などは想定されますが、製造工程に近い作業や、対象外となる業務が含まれる場合は注意が必要です。
- 日本語での指示・安全教育ができるか
物流倉庫では、安全に関わる指示が多くあります。
たとえば、フォークリフトの通行、重量物の取扱い、ラック周辺の作業、転倒防止、火災や災害時の対応など、正確な理解が必要です。
そのため、やさしい日本語、写真付きマニュアル、多言語資料、現場での反復教育などを用意することが望ましいです。
- 倉庫管理システムなどを活用しているか
物流倉庫分野では、入庫管理、在庫管理、出庫管理などの機能を持つシステムの活用も重要です。
外国人材が現場でスムーズに働くためには、作業指示や在庫情報がわかりやすく整理されていることが大切です。
紙だけに頼るのではなく、倉庫管理システム、ハンディ端末、バーコード管理などを活用することで、ミスの防止や作業効率の向上につながります。
- 支援体制を整備できるか
特定技能外国人を受け入れる場合、生活面や職場面での支援も必要になります。
住居、銀行口座、携帯電話、行政手続き、日本での生活ルール、相談対応など、外国人材が安心して働ける環境を整えることが大切です。
自社で支援を行うこともできますが、登録支援機関に委託することで、支援業務をスムーズに進めやすくなります。
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物流倉庫分野は育成就労とも関係する
物流倉庫分野は、特定技能1号だけでなく、育成就労制度とも関係する分野です。
育成就労制度は、外国人材を日本国内で働きながら育成し、将来的に特定技能1号へつなげていく制度です。
物流倉庫分野でも、育成就労を通じて倉庫内作業の基本を学び、技能や日本語能力を高めたうえで、特定技能1号へ移行していく流れが想定されます。
そのため、企業には「採用して終わり」ではなく、「育てて定着してもらう」視点が求められます。
今後は、現場教育、日本語学習、安全教育、相談体制、キャリアの見通しを整えている企業ほど、外国人材から選ばれやすくなる可能性があります。

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物流倉庫分野で成功する会社の特徴
物流倉庫分野で外国人材の受入れを成功させるためには、次のような体制づくりが重要です。
・作業手順が明確になっている
・写真や動画を使った教育資料がある
・日本語が不十分でも理解しやすい指示方法がある
・安全教育を定期的に行っている
・相談できる担当者が決まっている
・住居や生活面の支援が整っている
・日本人社員側にも外国人材受入れの理解がある
・長く働いてもらうための待遇や職場環境を整えている
特に物流倉庫では、正確性とスピードの両方が求められます。
外国人材が安心して働ける環境を整えることは、作業ミスの防止、安全性の向上、定着率の改善にもつながります。
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まとめ
物流倉庫分野は、今後の特定技能制度において注目される分野の一つです。
これまで物流業界では、トラックドライバーなどの自動車運送業が注目されてきましたが、実際には倉庫内作業も物流を支える重要な業務です。
入出庫、検品、仕分け、ピッキング、流通加工、在庫管理などの業務で人手不足に悩む企業にとって、特定技能外国人材の活用は今後有力な選択肢になる可能性があります。
ただし、受入れにあたっては、自社が対象事業者に該当するか、任せる業務が対象業務に含まれるか、日本語教育や安全教育、生活支援の体制が整っているかを確認する必要があります。
外国人材を単なる人手不足対策として見るのではなく、将来の現場を支える人材として育成し、定着してもらうことが重要です。
物流倉庫分野の特定技能は、運送業だけでなく、倉庫業、物流センター、荷主企業、配送拠点を持つ企業にとっても大きな可能性があります。
外国人材の受入れを検討している企業は、早めに制度内容を確認し、受入れ体制の整備を進めておくことをおすすめします。

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